タイトル |
不定芽利用によるイチジクモンサビダニ被害回避方法 |
担当機関 |
京都府山城園芸研究所 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
寺岸明彦
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発行年度 |
1996 |
要約 |
虫害の少ない母樹から採穂し、挿し木育苗中に虫害を認めたら新梢を切除し、不定芽を発生させて新梢を更新する。母樹では、側枝を切り戻しせん定し、不定芽を発生させる方法により虫害を減少させる。
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背景・ねらい |
府内のイチジク‘桝井ドーフィン’産地で、株枯れ病発生防止のため、無病樹から採取した穂木を用いて挿し木苗を育成したが、イチジクモンサビダニの被害を拡大させた。本害虫は芽の中で越冬するため薬剤散布による防除は困難である。そこで、新梢における被害部分の切除と不定芽利用による無被害苗育成方法について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 苗の虫害発生は、虫害発生率の高い母樹から採取した穂木を挿し木した場合に高い(表1)。また、虫害発生枝率が低い母樹から採取した穂木を挿し木した場合でも、苗の虫害発生率は必ずしも低下しない。
- 虫害葉率の高い苗に対する挿し木2か月後の新梢切除処理は、70%の苗で不定芽が発生し、処理2か月後の新梢長は処理前に比べて大きくなる。不定芽の虫害葉率及び被害度は処理によって大きく低下し、約20%の不定芽は無被害である(表2)。
- 7年生一文字仕立て樹の5年生側枝を切り戻しせん定して不定芽を発生させる場合には、樹勢の強い樹だけが結果母枝を確保できる(表3)。虫害発生枝率の高い樹では処理後の虫害発生枝率は低下するが、不定芽の発生数は少ない。
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成果の活用面・留意点 |
- 母樹は、10月下旬には苦土欠乏及びさび病の発生が著しくなり、虫害の判定が困難になるため、虫害発生状況の確認は9月下旬から10月中旬が好ましい。
- 不定芽の伸長は、さし木時期を2~3月とし、新梢切除後はEC 1.2ms/cm液肥を施用することにより促進できる。また、育苗中の虫害発生率調査は、EC 2.4ms/cm に上げ、葉色を濃くした方が容易である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
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防除
薬剤
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