水生植物を利用した茶園排水浄化装置による硝酸態窒素の浄化

タイトル 水生植物を利用した茶園排水浄化装置による硝酸態窒素の浄化
担当機関 滋賀県茶業指導所
研究期間 1997~1998
研究担当者 今村嘉博
志和将一
発行年度 1997
要約 定植2・3年目のヨシおよびマコモによる排水浄化フィルターに、慣行施肥茶園から流出した暗きょ排水を掛け流すことにより硝酸態窒素を80%以上浄化できる。さらに、植物体の刈り取りを8月と10月の2回行うことにより浄化率が向上する。
背景・ねらい  集団茶園の地形連鎖を利用した茶園排水浄化システムを確立するため、水生植物を利用した排水浄化装置の導入を検討しており、昨年までに人工調整水を用いてその有効性を確認した。そこで、茶園排水を用いて硝酸態窒素に対する浄化能力の経時的変化および浄化能力を安定化するための装置の管理技術について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 前年度報告した浄化装置に、所内茶園(5.0a)から採取した暗きょ排水を3L/h程度の流量で掛け流し、硝酸態窒素浄化能力を検討した。掛け流し期間は水生植物生育期間とした(図1)。
  2. 期間内に暗きょ排水によって茶園より流出する硝酸態窒素量は年間N施肥量の10%程度であるが、排水量・硝酸態窒素濃度は降水量の影響による年次変動が大きい(表1)。
  3. ヨシ・マコモの刈り取りが10月期だけの場合(年1回刈り取り)、期間内に流入した硝酸態窒素量の80%以上を浄化することができる(表2)。しかし、7月以降は浄化能力の低下により各フィルターにおける硝酸態窒素濃度低減量が徐々に減少する(図2)。
  4. ヨシ・マコモの刈り取りを、10月期に加えて8月期に行うことにより(年2回刈り取り)、8月期刈り取り直後に各フィルターで一時的な硝酸態窒素濃度の上昇が見られるものの、浄化植物の再生長により浄化能力は回復し、総浄化率は年1回刈り取りよりも向上する(図2・表2)。

成果の活用面・留意点
  1. 集団茶園の集水域を利用した浄化システム開発の基礎資料となる。
  2. 時期的な暗きょ排水量の変化に合わせた掛け流し流量の調整と浄化能力の検討が必要。
  3. 総浄化量は、浄化植物体による全窒素回収量以外に脱窒作用・土壌による吸着・浄化植物の地下部による蓄積等を総じたものと考えられる。

図表1 210351-1.gif
図表2 210351-2.gif
図表3 210351-3.gif
図表4 210351-4.gif
カテゴリ 管理技術 栽培技術 施肥

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