タイトル |
胚培養により育成したユリ新品種‘マース’ |
担当機関 |
岡山県立農業試験場 |
研究期間 |
1985~1997 |
研究担当者 |
鴻野信輔
森本泰史
村西久美
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発行年度 |
1997 |
要約 |
胚培養手法を用いて、種間雑種のユリ新品種‘マース’を育成した。本品種は、紫紅色のテッポウユリ型で、りん片挿し後1年以内に開花する小球開花性がある。適応作型は季咲き栽培及び抑制栽培である。
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背景・ねらい |
球根費の節減と地域特産品種の育成を目的として、胚培養手法を用いて、実生1年以内に開花するタカサゴユリと豊富な花色を持つスカシユリとの種間交雑育種を行い、低コスト生産が可能な特産品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 昭和63年に胚培養により育成したタカサゴユリとスカシユリ‘小娘’との交雑種の中から選抜した品種で、雨除け網室内での栽培では7月中旬に開花する。
- 花は紫紅色(JHS カラーチャート 9714)をしたテッポウユリ型で、斜め上から横向きである。花粉が少なく、開花後も花粉による花弁の汚れが少ない。葉はタカサゴユリに似た細葉で葉数は多い(表1)。
- 小球開花性があり、8月にりん片挿しすると翌年の7月に開花するので、りん片挿しによる切花生産が可能である(表2)。
- 適応作型は、りん片挿し苗もしくは球根を用いた季咲き栽培、冷凍球を用いた抑制栽培である。低温処理球を用いた促成栽培も可能であるが、開花促進効果は小さい(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 生育が旺盛なため、大球を用いた栽培では草丈が長く、茎が太く、花数が多くなりやすいので、大球を用いた肥沃地での栽培では減肥または無肥料とする。
- 開花時に強日射となる場合、花に日焼けが生じやすいので、発蕾期からは50%程度の遮光を行なう。
- りん片挿し苗を用いた栽培で、りん片挿しを9月以降に行なうと開花率が低下するので、りん片挿しは8月までに行う。
- ウイルス病に弱いのでアブラムシの防除を徹底する。
- 品種登録申請中である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
育種
カラー
新品種
低コスト
品種
防除
ゆり
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