タイトル |
天敵を利用した生物的防除法による減農薬防除技術 |
担当機関 |
滋賀県茶業指導所 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
和田 義彦
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発行年度 |
1998 |
要約 |
茶の主要害虫であるカンザワハダニ、チャノコカクモンハマキを天敵(ケナガカブリダニ、顆粒病ウイルス)利用により防除を行うことで、化学合成農薬の散布農薬数を50%、散布回数を30%削減しても慣行防除と同等の効果が得られる。
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背景・ねらい |
茶の安定生産のためには病害虫防除は不可欠であるが、環境への負荷軽減や消費者の安全志向の高まりなどを考えると、化学合成農薬に依存してきたこれまでの防除体系から、環境に配慮した防除体系への転換が望まれる。 そこで、天敵利用による生物的防除技術を取り入れることで、化学合成農薬の散布回数や使用を必要最小限に抑えた、環境にやさしい防除体系の現地茶園での実用化を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- ケナガカブリダニは、カンザワハダニの多発状況下(寄生葉率40%)で放飼すると防除効果は劣るが、殺ダニ剤でカンザワハダニを低密度に抑えた後に放飼することにより防除効果が高くなる(図1)。
- 天敵利用区は、慣行防除区に比べ殺ダニ剤の散布農薬数を50%削減してもカンザワハダニの発生を低密度に抑えられる(図1、表2)。
- ケナガカブリダニは一度放飼すると茶園に定着するが、古葉まで落とす強いせん枝(中切り)は定着を妨げ、再度ケナガカブリダニの放飼を必要とする(図1)。
- 顆粒病ウイルスは、チャノコカクモンハマキの第一世代、第三世代幼虫期に各1回散布することで年間発生量を低密度に抑えることができる(図2、表2)。
- チャノコカクモンハマキ多発時は、顆粒病ウイルスによる罹病効果は確認できるが茶園への被害も見られ化学合成農薬の散布を必要とする(図2、表1)。
- 天敵利用と病害虫の発生消長に基づいた化学合成農薬の適期防除で、散布農薬数を50%、散布回数を30%程度削減しても慣行防除と同等の効果が得られる(表1、2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 春先は気温が低くケナガカブリダニの活動は鈍くなる。そのため、放飼は気温が比較的高くなる一番茶摘採以降に行う。
- 顆粒病ウイルスの散布は、幼虫発生期(前世代成虫の発餓最盛日より9~12日後)から遅くなるほど罹病率が低下するので、幼虫発生初期に散布する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
生物的防除
茶
天敵利用
農薬
病害虫防除
防除
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