タイトル |
ウシ体外受精胚及び顕微操作胚のVero細胞との共培養 |
担当機関 |
広島県立畜産技術センター |
研究期間 |
1994~2001 |
研究担当者 |
今井 昭
尾形康弘
岩水 正
|
発行年度 |
1998 |
要約 |
ウシ体外受精胚の共培養細胞として検討した3種の株化細胞のうち、サル腎細胞由来のVero細胞との共培養により胚盤胞期胚への発生率が高まる。また、核移植胚、性判別バイオプシー胚の培養においても品質改善効果が認められる。
|
背景・ねらい |
ウシ体外受精胚の共培養には一般的に顆粒層細胞を用いるが、この方法では培養条件を一定に保つ事が難しく、また、共培養細胞が受精胚を覆い細胞質を圧迫してしまう等の欠点がある。そこで、効率的な胚生産のための共培養細胞として凍結可能で増殖が簡単、かつ共培養時に胚を覆う事のない3種類の株化細胞を用い、その有効性を検討する。
|
成果の内容・特徴 |
- 株化細胞との共培養は10%FCS添加CR1-aa培地にて5%CO2、95%Airの気相条件で行った。
- ウシ体外受精胚を、3種類の株化細胞及びウシ顆粒層細胞による共培養区と非共培養区において培養した結果、胚盤胞期胚への発生率はサル腎細胞由来株化細胞(Vero細胞)との共培養区が他区に比べて有意に高かった(表1)。
- 媒精後7日目のウシ体外受精胚の総細胞数は、Vero細胞との共培養区、非共培養区の間に差は認められなかった(表2)。
- 凍結した体外受精胚をドナーとしたウシ核移植胚を、Vero細胞と共培養して発生率について調査した結果、胚盤胞期胚への発生率は非共培養区より高い傾向にあった(表3)。
- 核移植後7日目のウシ核移植胚の総細胞数はVero細胞との共培養により増加する傾向にあり、胚品質の改善効果が示唆された(表4)。
- 体外受精由来の胚盤胞期胚を性判別バイオプシーし、12時間後の胚の生存率はVero細胞との共培養区が有意に高かった(表5)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 体外受精胚は体内受精胚に比べ、細胞活性が劣るため共培養が有効であり、株化細胞であるVero細胞との共培養は条件を一定に保つことができること、共培養細胞が受精胚を覆わないことに加え、従来の顆粒層細胞との共培養よりも効率的な胚の生産が可能である。さらに核移植胚、性判別バイオプシー胚の培養にも活用できる。
- 今後は、Vero細胞との共培養により作出した胚の受胎性について検討する必要がある。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
図表5 |
 |
カテゴリ |
|