タイトル |
高齢者・女性でも安心して作業できるオウトウの低樹高Y字形整枝 |
担当機関 |
兵庫県立北部農業技術センター |
研究期間 |
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研究担当者 |
松浦 克彦
石田 博人
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発行年度 |
1998 |
要約 |
オウトウの低樹高栽培(樹高2.5m程度)にはY字形整枝が優れ、棟高3.5mの雨よけハウスで栽培できる。また、Y字形整枝は、収量、果実の着色、Brixに優れ、収穫時に脚立が不要であるので安心して作業でき、作業能率が向上する。
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背景・ねらい |
オウトウの従来の仕立て方は樹高が4~5mになるため、雨よけハウスは棟高5~6mにもなる。このため、施設の経費が高くつくとともに、高い所での作業が多く、高齢者や女性にとって非常に危険である。このことから、棟高3.5m程度のハウスで栽培可能で、作業性の優れた樹形を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 品種は「香夏錦」「佐藤錦」(コルト台)を供試し、栽植間隔は列間5m、株間3mである。樹形はカンデラブル形、Y字形(図1)、主幹形について比較検討した。
- 樹高:樹齢5年以降では、いずれの品種ともY字形が最も低く、次いで主幹形、カンデラブル形、の順である。樹齢8年のY字形の樹高は「香夏錦」で約2.3m、「佐藤錦」で約2.5mとなり、低樹高化が可能となる(表1)。
- 樹勢・花束状短果枝:Y字形では2.5m程度の樹高に抑えても、落ち着いた樹勢を示し、多数の花束状短果枝を着生する(データ略)。
- 収量:樹齢が5、6年ではカンデラブル形の収量が最も多いが、以後はY字形が他の樹形と同程度以上となる(表2)。
- 果実品質:着色率はいずれの品種ともY字形が最も優れ、また、Brixも他の樹形よりやや高い傾向である(表3)。
- 作業能率:Y字形は1分当たりの収穫果数や100g当たりの収穫時間について、最も作業能率が高く、1分当たりの収穫果数は主幹形に比べ35%も多い。また、Y字形は収穫時に全く脚立を使用せずに行える(データ略)。
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成果の活用面・留意点 |
- 誘引時の枝さけを避けるため、せん定、誘引は3月下旬から4月上旬に行う。
- 摘心は、主枝、側枝の先端部以外の新梢について行い、5月中旬から6月中旬に行う。摘心の方法は基部の5~6葉を残し、せん除する。
- 砂壌土での試験結果であるので、土壌条件によっては栽植間隔を変える必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
おうとう
低樹高
品種
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