タイトル |
PGPR(植物生育促進性根圏細菌)の選抜と接種種子の保存法 |
担当機関 |
中国農業試験場 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
浦嶋泰文
塩見文武(現
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発行年度 |
1998 |
要約 |
蛍光性シュードモナス属細菌の中から湛液水耕法においてホウレンソウの生育を促進するPGPRを選抜した。これらの菌株は「初期生育促進タイプ」と「初期生育抑制タイプ」に分けられる。またPGPR接種種子の保存法を開発した。
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背景・ねらい |
野菜の安定・高品質生産のためには連作障害の回避・軽減対策の確立が必要である。そこで連作障害の軽減をめざして、葉菜類(ホウレンソウ)を対象とし、まず湛液水耕法において植物生育促進性根圏細菌(PGPR:Plant Growth-Promoting Rhizobacteria)の選抜と、PGPRを効率的に根面定着させるための接種種子の保存法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- ホウレンソウを収穫期まで湛液水耕法にて栽培し、各種の野菜栽培土壌及びホウレンソウ根圏から分離した約500菌株の蛍光性シュードモナス属細菌の中から、収穫時においてホウレンソウの生育(地上部&根部)を促進する機能を持つ菌株を数菌株選抜した(図1)。
- PGPRとして選抜した菌株には、2種のタイプが存在し、Aタイプは生育初期から根の生育を促進する(データ略)。Bタイプは菌体を含む培養原液及びそのろ過滅菌液の両者ともに、ホウレンソウ生育初期の幼植物根の生育を抑制する(図2)。Bタイプの菌株の生育促進機作は、培養原液のろ過滅菌液を希釈した溶液を生物検定法に供試すると幼植物根が1以上の相対伸長率を示すことから(図2)、菌体外分泌物質又は微生物代謝産物によると考えられる。
- PGPRを接種したホウレンソウ種子を1%メチルセルロース(重合度100)で処理後、4℃で保存することにより、長期(6ヶ月)にわたり種子の菌密度は高く推移し(図3)、保存後の種子の発芽率も90%程度である。また6ヶ月保存後の種子を市販育苗培土に播種栽培後、接種菌は根に定着しており、この保存法はPGPRをホウレンソウの根に定着させる上で有効である。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果は、有用微生物の湛液水耕法への利用に関する基礎資料となる。
- AタイプのPGPRのホウレンソウ生育促進機作は不明である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育苗
生物検定法
播種
ほうれんそう
野菜栽培
連作障害
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