経膣採卵で採取した卵丘細胞ー卵子複合体からの牛体細胞核移植胚の作出技術

タイトル 経膣採卵で採取した卵丘細胞ー卵子複合体からの牛体細胞核移植胚の作出技術
担当機関 島根県立畜産試験場
研究期間 1999~2007
研究担当者 安部茂樹
岡崎尚之
長谷川清寿
発行年度 1999
要約 経膣採卵で採取した卵丘細胞-卵子複合体は、成熟培養後に体細胞核移植のドナー細胞(膨潤化した卵丘細胞)およびレシピエント卵子として利用できる。また、経膣採卵と核移植を組み合せて反復した場合、移植可能な核移植胚を連続的に作出できる。
背景・ねらい  牛の体細胞核移植は、Kato et. al.(Science:1998)によって子牛生産が可能であることが実証されて以来、相次いで分娩例が報告されている。しかし、この技術をフィールドにおける子牛生産技術に用いるためには、特定個体由来のドナー細胞およびレシピエント卵子を効率的に確保、利用するプログラムが必要である。そこで、経膣採卵(OPU)技術を利用したドナー核およびレシピエント卵子の継続的な確保、ならびに同一個体に由来する核移植産子の作出を目的に、卵丘細胞-卵子複合体(COCs)を用いた核移植について検討する。
成果の内容・特徴
  1. OPUは、6頭の黒毛和種牛を用い、1週間間隔で連続6回反復した。その結果、1頭1回当り平均23.4個のCOCsが採取され、このうち成熟培養可能であったCOCsは19.4個で、20時間成熟培養後の第1極体放出卵子数は14.0個であった(表1)。
  2. ドナー細胞(膨潤化した卵丘細胞)は成熟培養後のCOCsから分離し、除核したレシピエント卵子と個体毎に組み合わせ、融合および活性化処理した。融合を確認した核移植卵はCR1aaと牛卵丘細胞との共培養系で発生培養を行った(図)。また、食肉処理場由来の摘出卵巣41個を用いて同様な方法で核移植を行い、発生成績を比較した。
  3. OPU区の移植可能胚への発生率は47.0%であり、摘出卵巣区の29.0%に比べ有意に(P<0.01)高い値であった(表2)。また、OPU1頭1回当り平均3.2個(116/36)の移植可能胚が得られた(表2)。
成果の活用面・留意点
     この技術では、OPUと核移植を組み合わせたプログラムにより連続的に移植可能な核移植胚を得ることができ、1回のOPUでも特定個体からのドナー細胞およびレシピエント卵子を同時に準備することが可能である。従って、目的とする雌牛からの体細胞核移植胚の作出が効率化される。

図表1 210784-1.jpg
図表2 210784-2.jpg
図表3 210784-3.jpg
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