タイトル |
カキの主幹形垣根仕立てによる軽作業、早期成園化技術 |
担当機関 |
滋賀県農業試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
蒲生英美(H11)
文室政彦(H7~H10)
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発行年度 |
1999 |
要約 |
高畝式ベッドの根域制限と密植方式によるカキの主幹形垣根仕立て栽培において、樹高を2m程度に制限することにより軽労的な栽培が可能となり、「刀根早生」、「新秋」の5~6年生樹で4~5t/10aの高収量が得られ、早期成園化が図れる。
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背景・ねらい |
本県の主要果樹であるカキは、樹高が高いことから脚立での作業が多く、高齢者や女性にとっては重労働となっている。このため、脚立を使用せずに管理作業ができ、併せて早期多収が実現できる栽培法の開発が求められている。そこで、根域制限と密植方式による新栽培法を開発し、軽労化と早期成園化が可能な栽培体系を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 根域制限の方法はベッドの底にビニルシートとウレタンフォームを敷き、この上に培土を盛り、高畝式ベッドとする。培土は砂壌土に良質堆肥を容積比で2~3割混合したものを使用する。ベッド間隔は2.2~2.5mとする。整枝法は主幹形仕立てとし、高さ0.8m、1.3m、1.8mの位置に鋼線を張り、側枝を誘引して垣根状に仕立てる(図1)。灌水はタイマーによる自動灌水で1~2回/1日行う。
- 「刀根早生」では移植当年の4年生樹で約3t、6年生樹以降は約5t、「新秋」の6年生樹以降は約4tの10a当たり換算収量が得られ、早期多収が実現でき(表1)、果実品質も慣行栽培と差異がない(データ省略)。
- 「刀根早生」の栽植密度は10a当たり455本植え(樹間1.0m、土壌容量約180リットル)が早期には増収するが、303本植え(樹間1.5m、土壌容量約270リットル)でも植栽3年目で同等の収量が得られる(図2)。
- 摘蕾・摘果、収穫、せん定等の管理作業に脚立が必要でなく、楽な姿勢で作業ができる。また、収量が多いため10a当たりの収穫作業時間は多いが、単位収量当たりの収穫作業時間は軽減される(表2)。
- 好適施肥量は10a当たり窒素成分で12㎏程度である。適正葉果比は収量と2L以上の大玉率から「刀根早生」で葉果比15程度、「新秋」で20程度である(データ省略)。
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成果の活用面・留意点 |
- 着果部位は地上2mを上限とし、側枝は樹幹近くに配置し、開花前に10葉を残して摘心し、夏期に徒長枝をせん定することにより、脚立の不要な樹形に仕上げることができる。
- 「刀根早生」では夏期にベッド表面をシルバーマルチで被覆し、地温の上昇を抑えることにより、着色および果実肥大が促進される。
- 根域制限による主幹形垣根仕立ては露地およびハウス栽培で利用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
かき
軽労化
栽培体系
施肥
早期成園化
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