タイトル |
シネラリア、インパチエンス、ベゴニアの新しいウイルス病「えそ斑紋病」 |
担当機関 |
岡山県農業総合センター |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
谷名 光治
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発行年度 |
1999 |
要約 |
シネラリア、インパチエンス、ベゴニアに発生した新しいウイルス病は、インパチエンスネクロティックスポットウイルス(INSV)によるもので、病名を「えそ斑紋病」とする。
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背景・ねらい |
岡山県中北部で鉢植えのシネラリア、インパチエンス、ベゴニアの葉にえそ斑紋、黄化えそなどの症状が多発したので、本症状の原因究明を行う。
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成果の内容・特徴 |
- シネラリアでは初め葉に約1cm、ほぼ円形のえそ斑紋が生じ、後に葉身全体にえそが進展し、株全体が黄化してやや萎縮する。花では花弁のねじれ、斑入りがみられる(図1)。
- インパチエンスでは径数mmのえそ斑紋や退緑斑紋を生じ、後に黄化、落葉したり茎にも黒色のえそを生じる(図2、3)。
- ベゴニアでは葉面が同心円状に波打つ斑紋症状が現れ、やがてえそを生じる(図4)。
- シネラリアから分離したウイルス株をシネラリア、インパチエンスに汁液接種すると原株と同様の症状が再現される。病葉からは電子顕微鏡により径85~120nmの外被膜をもつ球状粒子やその集塊が観察される。
- 各罹病植物の原株や汁液接種植物から、エライザ法やRT PCR 法(九州農試へ依頼)で、インパチエンスネクロティックスポットウイルス(INSV)が検出された。
- 本ウイルスはペチュニアにえそ斑点を生じるが、ウイルス病判別植物の Datura stramonium に反応が現れず、タバコや Nicotiana rustica に全身感染しないなどの点で、トマト黄化えそウイルス(TSWV)と異なる(表1)。
以上の結果、インパチエンスネクロティックスポットウイルスによるシネラリア、インパチエンス、ベゴニアの病害は我が国では未報告であるので、それぞれ「えそ斑紋病」を提案する。
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成果の活用面・留意点 |
- 本ウイルスはミカンキイロアザミウマによって媒介されるので、本虫の防除を徹底する。
- 本ウイルスは多犯性で、海外では34科の植物で発生の記載がある。
- 本病は、27℃以上の高温で病徴がマスクされる特徴がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
シネラリア
たばこ
ベゴニア
ペチュニア
防除
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