タイトル |
集合フェロモンを用いたチャバネアオカメムシの発生予察 |
担当機関 |
和歌山県農林水産総合技術センター果樹園芸試験場 |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
森下 正彦
中 一晃
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発行年度 |
1999 |
要約 |
チャバネアオカメムシの集合フェロモンを用いた予察方法は従来の乾式予察灯ではほとんど予察できなかった4月~5月でも誘殺され、夏期では乾式予察灯に比べて誘殺数は劣るものの、ウメ等の夏果実での予察では極めて有効である。
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背景・ねらい |
数年に一度多発し、ウメ、カキ、ミカン等で被害が問題となっているチャバネアオカメムシの集合フェロモンが合成され、発生予察に利用されることになった。そこで、現地における有効性と従来の乾式予察灯との比較について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 4月~10月までの誘殺総数は1998年には集合フェロモントラップ(サンケイ化学製、黄色、コガネコール用誘引器)で 207頭、乾式予察灯(20W、ブラックライト)で 354頭であり、1999年には両者とも 118頭である。
- 集合フェロモントラップは、乾式予察灯ではほとんど誘殺されない4月~5月にかけて誘殺され、夏期の8月~9月では集合フェロモントラップは1998年にはほとんど誘殺されず、1999年には乾式予察灯より誘殺数がかなり少ない(図1)。
- 1999年では新成虫の発生が遅くまでみられ、夜間低温期の9月6半旬以降は集合フェロモントラップでは多く誘殺され、乾式予察灯ではほとんど誘殺されない(図1)。
- 集合フェロモントラップでは、チャバネアオカメムシのほかに、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシも誘殺され、同時に予察可能であると考えられる(表1)。
- 以上の結果から、集合フェロモントラップは夏期の夜間高温時には乾式予察灯に比べて劣るものの、ウメ等の夏果実のカメムシ類の予察に重要な春先や晩秋の夜温の低い時期の予察に有効なトラップであると考えられる。
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成果の活用面・留意点 |
- 従来の予察灯では設置経費や電源確保の制約により設置できなかった場所に簡易に設置できることから、現地ほ場に極めて有効に活用できると思われる。
- 集合フェロモントラップはトラップの周辺にカメムシ類を誘引してしまうため、果樹園に隣接して設置すると被害がでるので、果樹園から50m以上離して設置する。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
うめ
かき
カメムシ
フェロモン
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