タイトル |
「アカナス」と「カレヘン」の体細胞雑種における染色体構成と形質の相関 |
担当機関 |
大阪大学大学院 |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
岩本 嗣
近江戸伸子(北陸農試)
茶試)
福井希一(大阪大学)
平井正志(野菜
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発行年度 |
1999 |
要約 |
GISH法による「アカナス」と「カレヘン」の染色体識別法を開発した。本法により、体細胞雑種の染色体標本上で、両種の染色体を識別できる。また、染色体構成と形質に相関が認められ、一部の形質をin vitro植物のレベルで予測できる。
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背景・ねらい |
収量性に優れたナスの台木品種「アカナス」に、「カレヘン」のもつ青枯病抵抗性を導入する目的で、体細胞雑種を24系統作出したが、系統間で花色、果形、草勢、稔性、青枯病抵抗性等の形質に変異が認められる。そこで、GISH法を用いて、染色体構成と形質との相関を明らかにし、目的とする形質を有する体細胞雑種の早期選抜に利用する。
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成果の内容・特徴 |
- ランダムプライマー法でビオチン標識した 100ngの「カレヘン」全DNAをプローブDNAに、10μgの「アカナス」全DNAをブロッキング用DNAに用い、体細胞雑種の染色体標本上で37℃、15時間の分子交雑を行い、蛍光シグナルを高感度冷却CCDカメラで撮影する。
- 画像解析処理によりシグナルを明瞭化すると、両種の染色体が完全に識別できる。染色体数48本の体細胞雑種は、「アカナス」の染色体24本と「カレヘン」の染色体24本をあわせ持つ複2倍体(図1-a)で、両種の中間型の形態特性を示す(図2)。
- 染色体数72本の体細胞雑種は、「アカナス」の染色体が48本、「カレヘン」の染色体が24本の6倍性植物(2n=6x=72)と「アカナス」の染色体が24本、「カレヘン」の染色体が48本(図1-b)の6倍性植物の2タイプが生じている。
- 6倍性の体細胞雑種の葉形(図2-a)、花色、花房の形態、果実の直径(図2-b)、果実の重量、果実の水分含量などの形質は、ゲノム構成の多い種の方に類似している。
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成果の活用面・留意点 |
- 体細胞雑種だけでなく、交配による雑種においてもGISH法の利用が可能である。
- 広範囲の植物に適応が可能で、プローブDNAとブロッキングDNAの処理条件を検討することにより、近縁の種間雑種でも、染色体構成を明らかにできる。
- in vitro植物の段階で、形質のいくつかを予測することができるため、目的とする形質を有する体細胞雑種の早期選抜に利用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
青枯れ病
台木
抵抗性
なす
品種
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