タイトル |
遮光ネットを利用した丹波ヤマノイモのマルチ栽培 |
担当機関 |
兵庫県立北部農業技術センター |
研究期間 |
1999~2003 |
研究担当者 |
福嶋昭
永井耕介
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発行年度 |
1999 |
要約 |
丹波ヤマノイモのマルチ資材として遮光ネットを使用すれば、慣行の稲ワラマルチ栽培とほぼ同等の収量および等級比率が得られる。さらに、内容成分やすりおろしたイモの粘性にも大差はない。
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背景・ねらい |
兵庫県丹波地域のヤマノイモ栽培は、稲ワラマルチが慣行であり、稲ワラ収集とマルチ敷設に多大な労力を要している。近年、この稲ワラの入手が困難になってきているため、代替マルチ資材が求められている。 そこで、遮光率が高く雑草発生抑制効果も期待でき、さらに雨水を通す遮光ネットのマルチ資材としての利用を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 椎茸栽培や観葉植物の遮光ネットに市販されている、ポリエチレン製でスリットの入ったカラミ織り遮光ネットをマルチとして使用する。4月中旬の種イモ植付け後、萌芽直前の5月下旬に緩効性肥料を施用し、畝全面にマルチし風で飛ばないようにする。
- 萌芽したヤマノイモの蔓はスリットから伸長できる。萌芽時期は6月上旬より始まり、中旬に出揃う(図1)。雑草発生は黒色遮光ネット(遮光率95%)、シルバー色遮光ネット(遮光率70%)とも充分に抑制される。
- 遮光ネットマルチ下の地温(地下5cm)は、慣行の稲ワラマルチに比較して夏の晴天時日中に高く、日変化が大きい傾向がある(図2)。
- イモの収量は、黒色、シルバー色の遮光ネットとも稲ワラマルチ区にくらべやや劣る傾向があるが、断面色調、内容成分およびすりおろしたイモの粘性には大差がない(表1、2)。
- 遮光ネットは稲ワラに比べ入手が容易で省力的に敷設でき、シルバーポリマルチを用いる場合のような潅水設備が不要であり、数年間繰り返し使用できることから、有力な代替資材と見なすことができる。
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成果の活用面・留意点 |
- 遮光ネットに植え孔を開けておく必要はなく、萌芽前の施肥後敷設する。
- 雨水は資材のスリット部分から侵入するが、イモの肥大や品質に影響の大きい夏以降の水管理は慣行と同様に行い、マルチ内土壌水分の乾湿に留意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
雑草
施肥
水管理
やまのいも
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