防風ネット、防風樹設置によるモモせん孔細菌病の発病抑制効果

タイトル 防風ネット、防風樹設置によるモモせん孔細菌病の発病抑制効果
担当機関 和歌山県農林水産総合技術センター
研究期間 2000~2001
研究担当者 山内勧
小山昌志
森下正彦
発行年度 2000
要約 モモせん孔細菌病の発病は、強風雨(風速10m以上)で生じる傷によって助長される。防風ネット(網目4mm、高さ4m)または防風樹を設置することにより、園内の相対風速は防風ネット、防風樹からの距離とともに減少し、発病抑制効果も風当たりの強い園周辺部(1~3列目)で高ことから、風当たりの強い園地では特に有効である。
背景・ねらい  和歌山県のモモ栽培は紀ノ川流域に集中しており、風当たりの強い園地が多い。モモせん孔細菌病は気象要因、特に生育期の強風雨により発病が助長されることから、発病に及ぼす風速の影響を検討するとともに、防除対策として防風ネットまたは防風樹による防風効果と発病抑制効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 送風機でモモ樹に風を当て、同時にせん孔細菌懸濁液を噴霧接種すると、発病葉率は風速が高まるとともに増加する。また、風による生傷発生葉率と発病葉率との間には有意な相関(r=0.9721, P<0.01)が認められる(表1)。
  2. 防風ネット(網目:4mm、高さ:4.0m)、防風樹(樹種:プリペット、高さ:3.8m)を設置した園内(高さ1.5m)の相対風速は、防風ネットまたは防風樹から遠ざかるとともに小さい(図1)。防風ネット、防風樹およびモモ樹の重なりによって風が減速すると考えられる。
  3. 防風ネットまたは防風樹設置園は、隣接する無設置園に比べ1列目、3列目とも発病果率、発病度が低い(表2)。このように、防風ネット、防風樹の設置はモモせん孔細菌病の発病を抑制する有効な防除手段となり、特に、風当たりの強い園周辺部でより効果が高い。

成果の活用面・留意点
  1. 設置費用は、防風ネット(高さ4m、網目4mm)が約70~100万円/10a(四面を囲む場合)で、防風樹(シラカシ苗木を60cm間隔に定植)が約20万円/10a(四面を囲む場合)である。防風樹は防風ネットに比べ設置費用は少なくて済むが、成木になり効果を発揮するまで5~7年を要する。
    防風樹に適する樹種にはシラカシの他にプリペット、マキ、トウネズミ等がある。

図表1 211007-1.jpg
図表2 211007-2.jpg
図表3 211007-3.jpg
カテゴリ 病害虫 栽培技術 せん孔細菌病 防除 もも

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