タイトル |
スギの花粉飛散数を用いた果樹カメムシ類の発生量予測 |
担当機関 |
和歌山県農林水産総合技術センター |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
森下正彦
大橋弘和
中 一晃
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発行年度 |
2000 |
要約 |
スギ球果着生量の代用としてスギ花粉飛散数を用い、チャバネアオカメムシの越冬密度および翌年初夏における果樹カメムシ類の誘殺数の予測が可能である。
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背景・ねらい |
果樹カメムシ類の発生量は増殖源であるスギ・ヒノキの球果の豊凶と関係が深いが、球果着生量を正確に評価することは難しい。そこで、球果着生量の代用として、スギ花粉飛散数を用いたカメムシの発生量予測を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- スギの花粉飛散数は地域によってそのレベルが異なるものの年次変動はよく似たパターンを示す(図1)。2月に調査されるチャバネアオカメムシの越冬密度は和歌山県南部で高く、北部で低い傾向を示すが、年次変動のパターンは似ている(図2)。
- スギの花粉飛散数が多いと、チャバネアオカメムシの越冬密度は高く(図3)、スギ花粉の年間飛散数(X:個/cm2 、県下4地点平均、以下同様)とチャバネアオカメムシの越冬密度(Y1:落葉50L当り虫数、全県平均)との間に次の回帰式が得られる(図4)。
Y1 = 0.0000047 X 1.6233 また、花粉の年間飛散数(X:個/cm2 )と越冬成虫が主体である翌年4~7月の100W予察灯誘殺数(Y2 :頭数、粉河町)との間に次の回帰式が得られる(図4)。 Y2 = 0.05796 X 1.2831
- 同様に翌年4~7月の100W予察灯におけるツヤアオカメムシの誘殺数(Y3 :頭数)との間には次の回帰式が得られる(図4)。
Y3 = 0.001193 X 1.7079 したがって、これらの回帰式を用いて、チャバネアオカメムシの越冬密度および翌年初夏における2種の飛来数予測が可能であり、モモやウメなどにおける発生予察に有効である。
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成果の活用面・留意点 |
- 花粉飛散数は花粉症に関連して各地の病院で測定され、ホームページ等に掲載されているデータを利用し、各地域で関係式を求める。
- 秋に収穫されるカキの被害は8~9月の飛来数に依存するが、この時期の飛来数は気温など球果量以外の要因も影響するため、誘殺数予測には異なる方法が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
うめ
かき
カメムシ
もも
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