タイトル |
搾乳牛における夏期の夜間多回給与による生産性の改善 |
担当機関 |
広島県立畜産技術センター |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
新出昭吾
長尾かおり
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発行年度 |
2000 |
要約 |
夏期には、夜間における濃厚飼料の多回給与が、粗飼料摂取量の増加、乳脂肪率、乳蛋白質率、無脂乳固形分率、4%脂肪補正乳量および固形分補正乳量の向上や、乳汁中尿素窒素量の低減に有効である。
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背景・ねらい |
夏期における乳生産量の低下の一要因は、暑熱による体温の上昇や飼料摂取量の低下である。これらの対策に、送風による舎内環境の改善等が実施されている。本試験は、濃厚飼料給与量の多い本県の飼料給与実態に対応し、自動給飼機を用いた濃厚飼料の給与回数や給与時刻が、夏期(5月~8月)の乳牛の体温、飼料摂取量と乳生産に及ぼす影響を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 乳用牛12頭を用い、濃厚飼料の給与回数と時刻を異にした昼3回区(8:45、12:45、18:00の3回給与)、昼6回区(8:45から16:45まで2時間等間隔と18:00の6回給与)、夜6回区(20:45から2時間等間隔で6回給与)、昼夜12回区(昼6回区と夜6回区と同じ時間帯で12回給与)でラテン方格法により調査した(表1)。
- 期間中の14:00の平均体感温度が25.4℃の環境温度下で、皮膚温度(肩上、肩、前ぱく、腹)は、夜6回区あるいは昼夜12回区が低い(P<0.05)。一方、直腸温度、平均体温は差がない(表2)。
- 乾物摂取量は、区間に差がないが、夜6回区は、粗飼料摂取量、粗飼料摂取割合が多く(P<0.05)、体重が増加する(P<0.05)(表3)。
- 乳脂肪率は、夜6回区が高く、乳蛋白質率および無脂乳固形分率は、夜6回区、昼夜12回区が高い(P<0.05)。4%脂肪補正乳(FCM)量および固形分補正乳(SCM)量は、夜6回区、昼夜12回区が多い(P<0.05)。また、夜6回の方法が、乳汁中尿素窒素量を低く推移させる(P<0.05)(表3)。
- 第一胃内容液のpH値は、夜6回区、昼夜12回区の変動が小さく、また、昼3回区、昼6回区と逆のパターンで推移する(図1)。
- 以上から、夏期においては、夜6回、昼夜12回の濃厚飼料の給与が、粗飼料摂取量を向上し泌乳成績を改善する方法である。
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成果の活用面・留意点 |
この技術の適応には、夜間送風が不可欠で、体感温度21℃から牛体に直接送風とする。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
乳牛
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