過剰排卵処理開始時期をコントロールするためのプロスタグランジンF2 αと性腺刺激ホルモン放出ホルモンの併用処理

タイトル 過剰排卵処理開始時期をコントロールするためのプロスタグランジンF2 αと性腺刺激ホルモン放出ホルモンの併用処理
担当機関 島根県立畜産試験場
研究期間 2000~2001
研究担当者 安部茂樹
岡崎尚之
山田彰司
長谷川清寿
発行年度 2000
要約 発情排卵後5~15日目の牛に、プロスタグランジンF2 αと性腺刺激ホルモン放出ホルモン(Gn-RH)を併用処理することにより、卵胞波の同期化が可能である。Gn-RH投与後3日目から過剰排卵処理を行った結果、その後の胚採取成績は、常法と同様な成績が得られる。
背景・ねらい  超音波診断装置を用いた牛卵巣の観察の結果、1発情周期中に2から3回の卵胞集団の発育(卵胞波)がみられ、この集団に存在する直径10mm前後の大型卵胞(主席卵胞)が他の卵胞発育に影響を及ぼし(Ginther et.al.,1989)、さらに主席卵胞の存在は過剰排卵処理後の胚採取成績に影響を及ぼす(Bungartz et.al.,1994)ことが報告されている。牛の過剰排卵処理は、第2卵胞波の出現を予想して発情後9~14日目に開始されるが、卵胞波の出現時期が不明であり、胚採取成績に個体差が認められる。このことから、この時期に存在する主席卵胞の吸引除去あるいはホルモン剤を用いた除去による卵胞波の同期化方法が検討されている。
 そこで、発情後5から15日目の牛にプロスタグランジンF2 α(PGF2 α)と性腺刺激ホルモン放出ホルモン(Gn-RH)を投与することで、主席卵胞除去を伴う卵胞波の同期化処理を行い、発情排卵後の第1卵胞波に併せての過剰排卵処理が可能かどうかを検討する。
成果の内容・特徴
  1. 発情排卵後5~15日目の黒毛和種雌牛(n=8)にPGF2 α(クロプロステロール、750μg)とGn-RH(酢酸フェルチレリン、100μg)を投与し(図1)、その後の卵巣動態を超音波画像診断装置により観察した結果、Gn-RH投与から1.7±0.1日(平均値±標準誤差)後に新しい卵胞波が出現し、主席卵胞の選択は卵胞波出現から2.5±0.3日後(Gn-RH投与から4.1±0.2日後)である(図2、図3)。
  2. 発情排卵後5~15日目の黒毛和種雌牛に、PGF2 αおよびGn-RH投与後3日目から、CIDR挿入後、卵胞刺激ホルモン20AUの3日間漸減投与による過剰排卵処理(図1)を行った結果、胚採取数および正常胚数(平均値±標準誤差)は、12.6±4.9個および9.4±4.6個であり、発情排卵後9~14日目から処理(対照区)を行った場合の16.4±4.7個および11.8±4.3個と差は認められない(表1)。

成果の活用面・留意点
     牛の過剰排卵処理は、黄体の有無を確認後、PGF2 αとGn-RHの併用前処理を行うことにより、従来法(発情排卵後9~14日目から処理開始)に比べ、広い範囲からの処理開始が出来る。さらに発情排卵確認をしなくても、処理開始および胚採取日の設定が可能となる。

図表1 211091-1.jpg
図表2 211091-2.jpg
図表3 211091-3.jpg
図表4 211091-4.jpg
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