タイトル |
簡易養液栽培装置を用いたコマツナのパイプハウス周年栽培 |
担当機関 |
中国農業試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
岡部昭典
佐久間青成
西村仁一
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発行年度 |
2000 |
要約 |
電力を必要としない簡易養液栽培装置をパイプハウスに設置し、培地に軽石またはセラミック粒を用いて、養液濃度0.5単位でコマツナを周年栽培すると、夏期は20日前後、冬期は60日前後で、出荷できる草丈25cm前後に生育する。
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背景・ねらい |
養液栽培は、土耕栽培に比べ各種の管理作業が省力化・軽労化できる反面、施設、装置、運転経費に多くの費用がかかる。そこで、取扱いの容易な簡易養液栽培装置「フィールド養液栽培装置」を平成6年に開発した。本装置は、電力を用いず、小規模なパイプハウスにも設置でき、装置の管理運営は容易である。本装置を用いて、高齢者や女性でも容易に取り組める、コマツナの周年栽培の実用化を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 本装置の培養液タンクは、ベッドより高い位置に設置し、養液は自然落差によりベッド底部の養液供給溝に流すため電力を用いない。ベッド底部養液供給溝の養液は、毛細管現象によって培地上層まで供給される構造である(図1)。栽培期間中の培養液管理は、所定濃度の培養液をタンクに追加するだけでよい。
- 培地は、ロックウール粒状綿、軽石(細粒)、セラミック粒(珪藻土焼成品)が利用できる。コマツナの出芽率は各培地で概ね80%以上であるが、作業性や通気性から見て軽石(粒径1~5mm混合)およびセラミック粒(粒径2mm)良い(表1)。
- 播種は培地に溝を切って直播きするか、シードテープを用いる。収穫後の残株は培地内に残し、残株横に播種溝を切り次作の播種を行う。
- コマツナ周年栽培の生育日数は、6~8月では20日間、9~10月と4~5月では40日間、11~3月では60日間となる(表2,表3)。養液濃度は大塚液肥A処方またはこれに準じた組成であれば利用でき、濃度は1単位または0.5単位で生育に差はなく0.5単位でよい(表2,表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本装置は、電力が要らず小規模設置が可能で操作が簡易であるため、中山間地の高齢者・女性向けである。
- 本装置は、装置の性格上培地表面に塩類集積を起こす。塩類が集積した場合は表面培地を取り除き洗浄後再利用する。
- ロックウール粒状綿とセラミック粒(珪藻土焼成粒)粒径1mmは培養液の吸い上げが良く、培地表面に藻が発生しハエの一種の好生活条件となり、多発すると糞害がでる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
軽労化
こまつな
出荷調整
省力化
中山間地域
播種
養液栽培
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