夏期ハウス内における再生紙パルプファイバー吹き付けによるマルチング技術

タイトル 夏期ハウス内における再生紙パルプファイバー吹き付けによるマルチング技術
担当機関 兵庫県立北部農業技術センター
研究期間 2000~2001
研究担当者 吉田修(Y建設株式会社)
出雲井雄二郎(株式会社O組)
福嶋昭(兵庫県立北部農業技術センター)
発行年度 2000
要約 再生紙パルプファイバーをハウス内の畑地畝面に吹き付けることにより、マルチングする装置を共同開発した。既存のロール状紙マルチ製品と同等の地温上昇抑制効果があり、作物の生育も良い。畝面に密着するため、部分的な早期破損はない
背景・ねらい  近年、自然環境の保全や生態系にやさしい農業技術が提唱されている。従来、畑地用のマルチ資材として、主に農業用ポリエチレンフィルムが大量に使用され、長年月にわたって腐敗せず大きな環境、社会問題となっている。また、ロール状紙マルチ資材は形状や重量から敷設に難があり、畝の谷部分など過湿による腐食や風雨による破損等課題が多い。
 そこで、畝立てした土壌面に再生紙パルプファイバーを直接吹き付けマルチする方法を考案し、この処理を行ったハウスほ場で軟弱野菜を栽培しその生育を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 吹き付けマルチ装置は、ガソリンエンジン、攪拌翼を装備した300リットルの混合タンク、圧送ポンプ、ホース及びノズルからなる(図1)。
  2. 再生紙パルプファイバー15kgを水300リットルに溶解し、ポンプによりホース内を圧送してノズルの先から畝面に吹き付け、約50m2 に5mmの紙マルチ層を形成する。  
  3. 地温上昇抑制効果はロール状紙マルチ資材と同等であり(図2)、土壌水分保持能力は同程度である(図3)。
  4. マルチ敷設後、播種穴を空け播種したコマツナ、ホウレンソウ及びチンゲンサイの発芽は良好であり、生育もロール状紙マルチ資材と同等かそれ以上である(表1)。
  5. 潅水時に土の跳ね上がりによる下葉の汚れはなく、施設内では連続3作栽培可能である。さらに、マルチ材は畝面に密着しているため、既存の紙マルチのような風や部分的な早期崩壊による吹き飛びがない。
  6. 吹き付けによる紙マルチ敷設法と装置は兵庫県立北部農業技術センター、株式会社O組およびY建設株式会社が共同で考案、開発したものである(特許出願中)。

成果の活用面・留意点
  1. 畝の形状、整地に関係なくマルチング可能で、栽培する作物によりマルチ厚は自由に増減できる。吹き付け紙マルチ敷設直後では、セル成型苗も植え付けが可能である。
  2. 大豆や果実の絞りかすなど、天然繊維質資材の利用も可能と考えられ、使用後は鋤込むことにより細片となり分解も早い。
  3. 露地栽培でもマルチ可能であるが、抑草効果は小さくマルチ厚を増す必要がある。

図表1 211119-1.jpg
図表2 211119-2.jpg
図表3 211119-3.jpg
図表4 211119-4.jpg
カテゴリ こまつな 大豆 チンゲンサイ 播種 ほうれんそう

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