世帯類型別にみた近年の食料需要動向の特徴

タイトル 世帯類型別にみた近年の食料需要動向の特徴
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 1998~2000
研究担当者 石橋喜美子
発行年度 2001
要約 家計調査個票を使用して世帯の類型化を行い、世帯構成を考慮しながら1984年から1999年までの食料消費傾向を分析した。その結果、若齢世帯の生鮮食品離れ、すべての年齢層での調理食品志向、高齢世帯での外食の延び等の特徴を明らかにした。
キーワード 家計調査個票、世帯類型別、食料需要分析、支出金額割合、回帰分析
背景・ねらい わが国では、高齢化問題が緊急の課題となっており、加齢とともに変化する食料消費動向を明らかにする必要がある。また、近年の若い世代の食料消費には、他の年齢層と異なる傾向がみられる。社会の高齢化に伴う食料需要の変化を明らかにするとともに、若い世代の食料消費の特徴を解明し、より実態に即した食料需要予測手法の開発に資する。
成果の内容・特徴
  1. コンピューター・プログラムを作成し、世帯類型化を行う。調査対象数の多い世帯類型を選択し、世帯ごとに、うるち米、生鮮魚介、生鮮肉、生鮮野菜、生鮮果物、調理食品、外食の各項目について消費支出に占める支出金額の割合を求める。さらに、1984年から1999年までの実質化した消費支出の変化と、各項目別の支出金額とを使用し、世帯類型別に需要分析を行う。
  2. 従来、世帯主の年齢だけに着目し、成員構成の多様な世帯を込みにした食料需要分析が多いが、ここでは世帯類型化により、個々の構成員の年齢や員数を考慮した食料需要分析が可能となった。それぞれの世帯類型は、年間延べ2千~7千世帯となる。
  3. 調査対象数の多い世帯類型として、「30歳代夫婦+10歳未満2人」、「40歳代夫婦+10歳代2人」、「50歳代夫婦+20歳代1人」、「60歳代夫婦のみ」の4類型を選択し、支出項目別に1984年から1999年までの消費支出に占める各食料支出金額の割合を求めた。
  4. うるち米、生鮮魚介、生鮮野菜、生鮮果物の4項目については、夫婦の年齢が高齢になるほど、消費支出に占める割合が高い。特に、生鮮魚介で年齢差が大きい。また、4世帯類型とも近年これらの項目の消費支出に占める支出割合は低下している(図1)。
  5. 生鮮肉支出金額の消費支出に占める割合は、「40歳代夫婦+10歳代2人」が最も高い。生鮮肉の1人当たり購入数量は、1989年から1999年にかけて変化はないが、購入単価の低下のため、生鮮肉の消費支出に占める割合は、どの世帯類型においてもこの期間に低下している(図1)。
  6. 調理食品への支出金額が消費支出に占める割合は、4類型でほとんど差がない。また、1984年から1999年にかけて、4類型ともほぼ同じ比率で増加している(図1)。
  7. 外食費は、夫婦の年齢が若いほど消費支出に占める割合が高い(図1)。
  8. 1984年から1999年の間で個票データのある7年分の結果から、消費支出と項目別の支出金額とを使用し、世帯類型別に需要分析を行ったところ、若齢世帯(特に、「30歳代夫婦+10歳未満2人」)での米離れ(弾性値=-9.69)、生鮮果物離れ(-8.18)、および調理食品志向 (5.59)が鮮明に認められた。また、外食支出割合は「60歳代夫婦のみ」 の世帯で弾性値(1.86)が比較的に高い結果が得られた(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 食料消費実態を明らかにすることにより、食料供給の安定に役立てる。
  2. 個票データ使用の統計法上の制約により、分析年は一貫していない。
  3. 生鮮食料については、家庭内消費に限定した分析結果である。
図表1 211155-1.gif
図表2 211155-2.gif
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