タイトル | ICタグと二次元コードを利用した農産物の生産履歴開示システム |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
菅原幸治 大松重尚(日本農業IT化協会) |
発行年度 | 2003 |
要約 | 農産物の各商品に対応した生産履歴を開示するシステムである。消費者は、個々の商品の包装や箱に貼付されたICタグを店頭表示端末で読み取るか、二次元コードをカメラ付き携帯電話で読み取ると、商品の生産履歴データをその場ですぐに閲覧できる。 |
キーワード | 生産履歴、ICタグ、二次元コード、データベース、インターネット |
背景・ねらい | 安心な農産物に対する消費者のニーズが高まり、安心や信頼を保証するために農産物における生産履歴の開示やトレーサビリティの確立が求められている。商品のラベル等に印刷されたID番号を特定のWebサイトで入力するとその商品情報を閲覧できる仕組みはすでに実用化されている。しかし、生産者が細かい単位で生産履歴データを入力するのは容易でないほか、消費者が店頭で商品を選択する際にIDの入力を行うのは煩雑であった。そこで、より簡便な生産履歴開示のため、ICタグ(RF-ID)あるいは二次元コード(QRコード)に生産履歴データを関連付けて商品に貼付し、これらを読み取るだけで商品の生産履歴をすぐに閲覧できるシステムを開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 生産者は、携帯電話やパソコンを使ってインターネット上のデータ入力システムにアクセスし、圃場作付けごとに作業内容や農薬・肥料等の使用状況など生産履歴データの入力を行う。それらのデータは特定の生産履歴データベースに一括して蓄積される。農産物を出荷する際に圃場ごとに出荷記録を入力し、データベース上で各出荷単位にIDが付番される。 2. 本システムでは、固有のIDを保持するICタグ、あるいは二次元コードを印刷したラベルを使用する(図1)。集荷場などで各出荷単位のIDと生産者・圃場等を照合した上でICタグや二次元コードとの関連付けを行い、これらを農産物商品の包装や箱などに貼付する(図2)。 3. 店頭において消費者は、ICタグ読み取り機を接続した表示端末を使って個々の商品に貼付されたICタグを読み取ると、自動的にインターネット上の生産履歴データベースを検索し、その商品の生産者、圃場、収穫日、農薬散布回数などのデータが集計されて表示される(図3)。 4. 二次元コードにはインターネットのアドレス(URL)の文字列がコードされており、そのURLには各商品固有のIDが含まれている。消費者は、カメラ付き携帯電話の二次元コード認識機能を利用して、商品ラベルの二次元コードを読み取りURLにアクセスすることで、店頭だけでなく家庭からでもその商品の生産履歴データを閲覧できる(図4)。 5. 山形県の平成15年度トレーサビリティ推進事業において本システムが導入され、同県内の生産者、市場、生協の協力によりセイヨウナシを対象とした実証試験が行われた。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本システムは日本農業IT化協会を事務局として運用している。システム導入にあたっては、次のWebサイトを参照して登録手続きをする必要がある。URL:http://www.afama.ne.jp/2. 店頭に設置する表示端末は、迅速に生産履歴データを表示できるようにするため、なるべくADSLなどの高速インターネット回線に常時接続されている必要がある。 3. 消費者だけでなく、流通・販売業者もインターネットを通して各商品の生産履歴データを確認できるため、商品の荷受けや検品作業を行う際にも本システムを利用できる。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 肥料 病害虫 ICタグ 出荷調整 データベース 農薬 |