タイトル | 非黒ボク土の長期連用畑圃場での土壌炭素含有率の増減要因 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
三浦憲蔵 森泉美穂子 草場 敬 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 非黒ボク土の連用畑圃場での土壌炭素含有率の増減は、土壌群に関わらず、連用当初の土壌炭素含有率の値と有機質資材投入量に大きく左右される。さらに、投入量3t/年以上の場合には副資材の種類に影響される。 |
キーワード | 非黒ボク土、長期連用畑圃場、土壌炭素含有率、増減要因 |
背景・ねらい | 農耕地における土壌炭素量の変化は作物生産だけでなく地球環境変動にも影響する。しかし、従来の研究では、単一地点や特定地方の圃場を解析対象としているため、土壌群や肥培管理条件が限られ、わが国の畑圃場全般での土壌炭素含量や含有率の変動要因は十分に明らかになっていない。一方、基準点一般調査データベースが完成し、肥培管理などの土壌特性や作物収量に対する影響解析が全国レベルで可能となった。そこで、本データベースを活用し、わが国の畑圃場での土壌炭素含有率の増減に影響する要因を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 基準点一般調査データベースより抽出した、連用年数が10年以上経過した非黒ボク土の畑、36圃場(茶畑は除く)を解析対象としている。連用試験開始時および試験開始時よりn年後の土壌炭素含有率の値は、それぞれ、第1作作付後より3年以前までの値の平均、(n-1)年より(n+1)年以前までの値の平均を用いている。連年施用約10年間の土壌炭素含有率の増加量には、連用試験開始時から10年後、連用5年後から15年後、10年後から20年後までの増加量を用いている。 2. 化学肥料単独連用施用の畑圃場では、連年施用約10年間の土壌炭素含有率の増減は、非黒ボク土内の土壌群に関わらず、当初の土壌炭素含有率と関係する。土壌炭素含有率は、当初の土壌炭素含有率が0.7~1.3%前後を境に、増加から減少へと転じる(以下、この境界値を「土壌炭素含有率の増減不変値」と表記)。当初の土壌炭素含有率が増減不変値より小さい場合、当初の土壌炭素含有率が小さいほど増加量は大きい。また、当初の土壌炭素含有率が増減不変値より大きい場合、当初の含有率が大きくなるにつれ減少量は大きくなる(図1)。 3. 化学肥料に上乗せ施用した有機質資材の投入量が2t/10a/年以下の圃場では、副資材に木質系を含まない有機質資材(図では非木質と表記)、副資材に木質系を含む有機質資材(図では木質と表記)ともに、土壌炭素含有率の増減にほぼ同等な影響を与える。 一方、投入量が3t/10a/年以上になると、非木質系に比べ木質系有機質資材を施用した圃場での土壌炭素含有率の増加量が大きくなり、施用の影響が副資材の種類で異なる(図2)。また、副資材に木質系を含まない有機質資材では投入量が大きくなるにつれ、土壌炭素含有率の増減不変値および土壌炭素含有率の増加量は大きくなる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 土壌環境モニタリング調査結果と併用することにより、わが国の非黒ボク土畑圃場を対象に、長期に渡る農耕地土壌の炭素含有率の増減予測に用いることが出来る。 2. 解析対象とした土壌群は、褐色森林土、灰色台地土、黄色土、褐色低地土、灰色低地土の5土壌群であり、他の非黒ボク土土壌群では検討していない。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 土づくり 肥料 茶 データベース 土壌環境 肥培管理 モニタリング |