タイトル | 水稲生産調整現地確認における航空機リモセンとモバイルGISの併用法 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2004~2004 |
研究担当者 |
吉田智一 高橋英博(近中四農研) 黒瀬義孝 大原源二(中央農研) |
発行年度 | 2005 |
要約 | 水稲生産調整現地確認で、夏季の厳しい環境下の作業量を最少としつつ、簡便に高い判定精度を得るには、航空機リモセンによる水稲の作付状況の判定結果を生産調整実施計画書と照合して、不一致の圃場だけをモバイルGISで補完調査するとよい。 |
キーワード | 航空機リモセン、モバイルGIS、生産調整、現地確認、地籍図 |
背景・ねらい | フ厳しい作業環境下で行われる水稲生産調整の現地確認は、作業環境の改善が望まれるだけでなく、調査に必要な人材の確保が困難になる中、経費の節減や省力化が強く望まれ、航空機リモセンやモバイルGISを利用する方法を開発した。しかし、判定精度の一層の向上や現地調査のさらなる削減が求められた。そこで、航空機リモセンとモバイルGISを併用して、求められる確認精度を満足しつつ、現地調査を最少とする併用法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 航空機リモセンとモバイルGISの併用法は、まず航空機リモセン画像と地籍図を用いて、圃場一筆毎に水稲の作付・転作状況を判定する。判定結果を、生産調整実施計画書の申請内容と照合して、両者が一致する場合は最終判定とし、一致しない場合はモバイルGISを用いて現地調査を行い、その結果を最終判定とする(図1)。 2. 航空機リモセンによる作付・転作状況の判定精度は、水稲の繁茂している時期であれば高く、調査事例では約97%である。生産調整実施計画書と作付実態が不一致となる圃場が出現する確率は低く、調査事例では約2%である。併用法で最終的に誤判定になるのは、航空機リモセンの誤判定と、生産調整実施計画書の申請内容と作付実態の不一致が同時に生起する場合で、その確率は0.1%以下で、航空機リモセン単独の場合の1/40以下である。現地調査が必要な圃場は、リモセンの判定結果と計画書の申請内容が一致しない場合で、約5%とモバイルGIS単独の場合の1/20以下である(表1)。 3. 航空機リモセンとモバイルGISを、こうした手順で併用すると、現地調査を最少として、誤判定も極めて少なく、水稲生産調整現地確認を省力・簡便に実施できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 航空機によるマルチバンド(可視3波長+近赤外1波長)画像の撮影コストは1平方キロメートル当たり11,000円と廉価で、雲の影響等で利用可能な衛星画像の入手が困難な夏季においてもほぼ確実に撮影できる。 2. リモセンとGISで使用する地籍図は,圃場区画と生産調整実施計画書との対応が取れるように利用者側で用意する必要がある。 3. 空撮画像は撮影時期を工夫することで水稲の品質管理等多面的に利用可能である。 4. 本法による調査はペーパレスで行われ、現行の紙媒体を用いての現地確認調査は不要となり、事務処理が電子的に一貫して行えるため、事務作業の改善効果も高い。 5. モバイルGISについては、共通基盤研究成果情報平成16年度を参照されたい。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | コスト 省力化 水稲 |