流通過程でのロット形態の変更に対応した流通履歴データベース

タイトル 流通過程でのロット形態の変更に対応した流通履歴データベース
担当機関 関東東海総合研究部
研究期間 2004~2005
研究担当者 菅原幸治
佐藤和憲
発行年度 2005
要約  農産物の流通履歴、特にロット形態の変更を効率的に記録し照会できるデータベースである。流通過程におけるイベントのIDと、関係するロットのID、地点のID、時刻を関連付けてデータベースに記録することで、分割・統合の回数に関わらず追跡・遡及が可能となる。
キーワード 流通履歴、データベース、トレーサビリティ、識別番号、イベント
背景・ねらい  消費者に対して農産物の信頼性を保証するために、農産物における生産履歴・流通履歴の記録とそれによるトレーサビリティ確立が求められている。農産物流通において、バーコードやICタグなどの識別媒体の添付によってロット(識別単位)を識別し、流通履歴の記録を行うシステムはすでに開発されている。しかし、農産物は流通過程においてロットの分割や統合といったロット形態の変更が多く、その前後でロット間の対応を的確に記録し、かつ簡便に記録データから追跡・遡及できる仕組みは十分に確立されていない。そこで、分割・統合等のロット形態の変更に対応し、より効率的な流通履歴の記録と照会が可能な流通履歴データベースを開発する。
成果の内容・特徴 1.
この流通履歴データベース(以下、DB)の特長は、多様な商品流通形態でのトレーサビリティのために、物流の記録に特化して汎用的かつ簡易な設計とした点である。流通過程における入荷、出荷、分割、統合など商品の取り扱いを「イベント」という概念で総括し、各イベントに識別番号すなわちIDを付与して流通履歴記録の基本単位とする。さらに、イベントの分類を単純化して、ある地点でのロットの移動を表す「入荷」「出荷」、ならびにロット形態の変更を表す「分割統合」を設定している。
2.
本DBのテーブル構成を図1に示す。基本となるのは「イベント記録テーブル」、「イベント・ロット記録テーブル」、「ロット記録テーブル」である。各イベントの発生時に、それに関係するロットのID、地点のID、および時刻を、イベントIDに関連付けてDBに記録する。
3.
分割統合イベントでは、その前と後におけるロットIDを前後フラグとともにイベントIDに対応付けて記録する。イベントに関係するロットは任意の個数で記録できる。なお、分割統合の派生イベントとして、複数ロットのグループ化を記録する「親子関係」を設定している。
4.
本DBによるトレーサビリティ、すなわち商品の追跡および遡及を行う手順の概要を図2に示す。DBに記録されたロットIDとイベントIDを相互に参照することで、流通過程での分割統合の回数ならびに関係ロットの個数に関わらず追跡・遡及が可能となる。
5.
本DBにもとづいて構築した流通履歴情報システムでは、記録した流通履歴データをWeb上で照会することができる(図3)。これを用いて、2005年に静岡県産の温州ミカンならびに群馬県産のレタスによる青果物トレーサビリティ実証試験を実施し、ロットの追跡・遡及が可能であることを確認している。
成果の活用面・留意点 1.
商品の流通過程において、ロットの識別媒体として固有のIDを有するバーコードやICタグを添付し、そのIDの読み取りによって流通履歴を記録する場合に、本DBを導入しやすい。
2.
商品の流通に関わる各事業者が個々のコンピュータでDBを運用し、必要に応じて事業者間でデータ交換することで、相互にデータ照会できる分散型のシステム構成も可能である。
図表1 211525-1.gif
図表2 211525-2.gif
図表3 211525-3.gif
カテゴリ ICタグ 温州みかん 出荷調整 データベース レタス

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