タイトル | ドリフト低減効果の高いブームスプレーヤ用ノズル |
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担当機関 | 園芸工学研究部 |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
㈱丸山製作所 ㈱共立 ヤマホ工業㈱ 安食惠治 久保田興太郎 宮原佳彦 市川友彦 市来秀之 鹿沼隆宏 杉山隆夫 藤岡 修 牧明日見 牧野英二 鈴木理敏 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 平農薬散布作業に使用される各種ブームスプレーヤに装着して、慣行と同等の作業能率で散布作業を行うことができ、実用的な防除効果を確保するとともに、ドリフト(農薬飛散)を慣行ノズルよりも大幅に低減することができるノズル。 |
キーワード | ノズル、農薬散布、ドリフト、ブームスプレーヤ |
背景・ねらい | 農薬による環境負荷低減や安全性確保の観点から、散布作業時のドリフト(農薬飛散)の防止が課題となっている。食品残留農薬基準値のポジティブリスト制導入(平成18年5月)以降は、隣接ほ場の他作物に従来よりも厳しい残留農薬基準値が適用される場合も想定され、早急なドリフト防止対策が求められている。しかし、既存ブームスプレーヤで用いられている慣行ノズルはその噴霧に微細粒子が多く含まれ、ドリフトが発生しやすいことが指摘されている。そこで、ブームスプレーヤに装着して、慣行と同等の能率で作業ができ、防除効果を確保しつつ、慣行よりもドリフトを低減できるノズルを開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 開発ノズル(2型式)は、噴霧にドリフトし難い粒径の粒子を多く含むノズルである。その常用圧力、噴霧量、取付部管用ねじ等は慣行ノズルと同等であり、一般の国産ブームスプレーヤに装着して、慣行と同等の散布作業が可能である(表1、図1)。 2. Ⅰ型は、噴霧平均粒径が慣行の約2倍(100μm以下粒子体積割合は1/2∼1/3)で、ドリフトを低減しつつ、薬液の付着性能を重視した仕様である。一方、Ⅱ型は、粒径が慣行の3∼4倍(100μm以下粒子体積割合は1/4∼1/10)と微細粒子をⅠ型よりも削減し、ドリフト低減効果を重視した仕様である。(表1)。 3. ほ場境界から距離3∼20m(3列×列間5m)に設置した感水紙上の付着液斑目視判別指数(液斑被覆面積率に対応した0∼10の11段階、生研センター作成標準付着度指標に準拠)の距離別平均値を図2に示す。同図の各ノズルの指数合計値で見ると、Ⅰ型は慣行の約1/2(キャベツ、150L/10a散布、作業方向に対して追風2m/s)に、Ⅱ型は慣行の約1/5(水稲、100L/10a散布、作業方向に対して横風4m/s)にドリフトを抑制した。 4. 開発ノズルは、キャベツの防除効果試験において、慣行と同じ方法(農薬の種類、希釈濃度、散布量)で使用した場合の実用性が確認されており(表2)、対象作物及び病害虫が類似し、散布方法等が同等であれば、ほぼ同様の効果が期待できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 既存ブームスプレーヤに本ノズルを装着して使用することにより、慣行と同等の散布作業を行いつつ、ドリフトによる近隣への危被害発生のリスクを軽減できる。 2. Ⅱ型は平成18年3月より市販化された。引き続き、Ⅰ型の市販化を早期に行う予定。 3. 対象作物・病害虫及び農薬の種類等が前記の試験と異なる場合は、ドリフト低減効果や防除効果が異なることも想定されるため、使用条件毎の効果確認が必要である。 4. 本ノズルを使用する際に、強風下の場合、あるいは、微風であっても散布地点から至近距離に別ほ場や作物がある場合等では、散布経路や作業日程の変更、遮蔽物(シート、ネット等)の設置等、ドリフトによる危被害防止への対応が不可欠である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 害虫 環境負荷低減 キャベツ 市販化 水稲 農薬 防除 |