タイトル |
回行式多目的モノレールの乗用台車 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター |
研究期間 |
2004~2005 |
研究担当者 |
金光幹雄
山本聡史
久保田興太郎
安食惠治
(株)ニッカリ
光永産業(株)
モノレール工業(株)
米山工業(株)
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発行年度 |
2006 |
要約 |
回行式多目的モノレールのけん引車と作業機の間に連結する乗用台車で、ウレタンゴムローラ式制動輪、ワンウェイクラッチ、降坂ブレーキ、駐停車ブレーキ等を備える。作業者は肥料散布作業や収穫物の運搬作業を乗車して行うことができる。
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キーワード |
果樹、モノレール、乗用台車、肥料散布、運搬
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背景・ねらい |
傾斜地果樹園での肥料散布作業、収穫物や資材の運搬作業等の省力化が可能な回行式多目的モノレール(平成14年度共通基盤研究成果情報「回行式の傾斜地果樹用多目的モノレール」参照)の軌条は低コスト化のためラックのない角パイプを採用している。このためピニオン式制動輪を備えた市販の乗用台車は利用できない。肥料散布車を使った施肥作業時に、作業者は軌条に沿って歩きながら散布角度調整等を行うが足場が悪く歩き難いため、乗車して作業が行えることが望まれている。そこで、回行式多目的モノレールの乗用台車を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 乗用台車は上下から軌条を挟む4輪ローラで支持する。4輪ローラの上2輪がウレタンゴム製制動輪であり、下2輪が軟鋼製遊動輪である。降坂ブレーキの制動力は、増速機、ワンウェイクラッチを介して制動輪に伝えられる(図1)。降坂ブレーキは、制動輪の周速度が0.65m/s以上になると作動する。ワンウェイクラッチは、制動輪の回転を後進降坂時のみ増速機に伝える。乗用台車の駐車ブレーキは、駐車ブレーキレバーを作業者が手で引くと作動し、乗用台車の制動輪をロックすると同時にけん引車のエンジンを停止する。
- 最大傾斜24゚の試験地(軌条長561m)で乗用台車に乗車して肥料散布作業を行うと、作業能率は乗車しない場合とほぼ同じであるが、作業者は座ったままで、園地傾斜度など散布場所に応じて噴口の上下角度を任意に調節でき、散布の開始・停止操作を行える(図2)。
- 乗用台車を連結したけん引車のけん引桿への作用力は、荷物台車(220kg積載)又は肥料散布車を連結して、軌条最大傾斜24゚の園地を0.3m/sで往復走行すると、乗用台車を連結しない場合と比較して、降坂ブレーキが作用する後進走行(降坂)で最大作用力が0.2kN低減し、前進走行(登坂)は最大作用力が0.9kN増加したが(図3)、けん引車駆動輪の滑りはほとんど見られず、走行速度は一定である。
- 軌条最大傾斜24゚の回行部で、荷物台車(220kg積載)を連結し、けん引車の降坂ブレーキを解除し、変速装置を中立とし、下り自由走行させると走行速度は0.8m/s以下に維持され、回行部を過ぎた勾配の緩い直線部で自然に停車する(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 乗用台車の利用は、軌条傾斜24゜以下の条件とする必要がある。
- 乗用台車の実用化に当たり軌条傾斜30゚まで適用するには制動力を高める必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
傾斜地
省力化
施肥
低コスト
肥料散布
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