タイトル |
堆肥原料の通気性を簡易に評価できる通気抵抗測定装置 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター |
研究期間 |
2005~2008 |
研究担当者 |
皆川啓子
原田泰弘
道宗直昭
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発行年度 |
2008 |
要約 |
家畜ふん尿の堆肥化処理において、副資材が混合された堆肥原料の通気性を簡易に評価することができる装置。堆肥原料の通気性を確保するための目安を得ることができる。
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キーワード |
家畜ふん尿、堆肥化、通気性、堆肥原料、副資材
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背景・ねらい |
家畜ふん尿等に副資材を混合した堆肥原料は、通気性を確保できれば効率的に堆肥化することが可能である。生ふん尿に副資材を混合するときには、その指標として含水率が使用されているが、含水率の測定には多くの時間を有し、副資材の混合量の決定には熟練を要する。一方、堆肥化が行われている現場では、堆肥原料1m3あたり100L/min程度の空気が供給され、通気装置として1.0~2.5kPa程度の静圧を有する送風機が推奨されている(堆肥化施設設計マニュアル、中央畜産会)。そこで、非熟練者でも容易に堆肥原料の通気性を確保するために必要な副資材の混合量を把握できるよう、堆肥原料の通気性を簡易に評価する装置を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 本測定装置は、試料を充填する容器と試料の通気抵抗を測定する計測部で構成する(表1、図1)。計測部には送風用ポンプ(吐出量2.0L/min、ダイヤフラム式)、圧力計(計測範囲0~100 Pa、精度±5.0%FS)が内蔵され、容器内に充填された試料の通気抵抗を測定する。
- 副資材が混合された堆肥原料全体から試料を採取し、圧密しないように容器一杯に入れ、容器と計測部とを接続する。スイッチを入れて試料に通気し、通気抵抗を測定する。試料採取から測定までの時間は、3.5min程度である(表2)。
- 本測定装置により、堆肥化が良好に開始されるときの通気抵抗値を把握しておくことで、堆肥化施設に投入される堆肥原料の通気性の良否を簡易に把握することができる。具体的には、まず、通気性が確保され、堆肥化が良好に進行しているときに本測定装置によるデータ蓄積を行っておく。本装置により通気性が悪いと判断される堆肥原料では、良いと判断される状態まで副資材を混合することにより、通気性を確保することができる。測定例として、堆肥原料1m3あたり100L/minの条件で通気することができ、良好に堆肥化が開始された堆肥原料では、本装置で55Pa程度であるなどのデータを得ることができる(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 副資材の混合量の把握など、堆肥化装置に投入前の堆肥原料の調製作業を支援することができる。2009年度に市販化予定。
- 堆肥原料に求められる通気性は、堆肥化装置に装備されている通気用送風機の性能、通気床構造、堆肥原料の堆積高さ等によって異なるため、実施設に投入される堆肥原料の通気性と本装置による通気抵抗値との関係を予め把握しておくことが必要である。
- 一般に堆肥原料にはムラが多く、堆肥原料全体の通気性を評価するため、測定点数は多い方が望ましい。
- 副資材として長稈の稲ワラ、麦稈などを主とする堆肥原料には適さない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
市販化
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