大規模普通畑作経営における雇用労働力定着化のための労務管理手法

タイトル 大規模普通畑作経営における雇用労働力定着化のための労務管理手法
担当機関 北海道農業試験場
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1994
要約  雇用規模の大きな経営の事例分析から、雇用労働力を対象とした労務管理のあり方を明らかにした。雇用の定着化のために、雇用期間の周年化と雇用形態の多様化及びOJTが行われている。また、基本給引き上げではなく、福利厚生と人間関係管理に重点を置いたフリンジ・ベネフィットが増加している。
背景・ねらい  十勝の普通畑作経営では、大規模化と労働集約的作物の導入に伴い、雇用労働力に対する需要が増加する傾向にある。そのために個別経営では、雇用労働力の量的拡大に対応して、その定着と有効な活用のための労務管理方策の解明が要請されている。本情報では、雇用規模の大きな経営を対象とした事例分析から、労務管理手法の特徴を明らかにする。
成果の内容・特徴  (1)雇用規模の大きな経営は、野菜生産やパック詰め等の作業を導入し、年間作業の繁閑差を小さくすることで、雇用期間の周年化を図っている。雇用形態は、雇用規模が大きいほど、臨時から季節、年雇へと長期の者にシフトするとともに多様化している(表1)。更に、被雇用者の事情を考慮して、就業条件を緩和した短期の臨時雇等を設け、農作業経験の無い新規労働者の開拓と実人数の拡大を図り、そのなかで子供の養育状況等の許す者を長期雇用している。また、雇用労働力の質的向上を図るため、経験ある班長の下で簡単な手作業や屋内作業から、圃場作業、機械作業へと段階的に熟練度を上げる労働管理(OJT:On-the-Job Training)が行われている。 (2)日給水準は、経営間格差が小さく、一般に高日給は、雇用定着の手段とはされていない。しかし、賃金体系は、雇用規模の大きい経営ほど、日給と通勤手当だけの単純な体系から、精勤、技能手当等を支給する多様な体系になっている(図)。 (3)法定外福利を中心とする福利厚生管理やコミュニケーションを重視する人間関係管理を行うため(表2)、賃金意外に生産性や利益に関係なく支給するフリンジ・ベネフィットが雇用規模の大きな経営で増加している。人間関係管理や福利厚生の充実は、被雇用者も家族と同等に扱い、被雇用者の非経済的動機に対してできるだけ満足を与えようという、経営家族主義的な労務管理思想に基づくものと推察される。このような労務管理方策は、雇用確保とモラールの向上に効果があると考えられる。
成果の活用面・留意点  この情報は、主婦を対象とする被雇用者の定着と活用を念頭においた労務管理方策の指導に際して基礎的知見となるが、その経営の収益性と地域労働市場に留意する必要がある。
図表1 211750-1.gif
図表2 211750-2.gif
図表3 211750-3.gif
カテゴリ 経営管理 大規模化

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