タイトル |
ジャガイモ疫病菌遊走子のうの間接発芽の同調的誘起法 |
担当機関 |
北海道農業試験場 |
研究期間 |
1994~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
疫病菌を塊茎スライスに接種し、17~18℃で6~7日間培養した後、形成した遊走子のうを一定濃度・組成の無機イオン水に懸濁し、22℃で6時間以上加齢成熟させる。この懸濁液を1時間14℃に保持すると、約90%の遊走子のうが同調的に間接発芽し、遊走子を逸出する。
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背景・ねらい |
これまで、ジャガイモ疫病菌遊走子のうの間接発芽(原形質の遊走子への分割と遊走子の逸出)に関与する要因が不明であったため、接種源として安定した感染力を持つ遊走子懸濁液を調整することが困難であり、ジャガイモ疫病抵抗性検定の実験系確立に対して大きな障害となってきた。そこで、間接発芽の発芽率と発芽速度に関与する要因を究明してその制御を可能とし、短時間で同調的に間接発芽させる方法を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- [間接発芽に好適な水質] 遊走子のうの間接発芽の発芽率・発芽速度は各種無機イオンの濃度とバランス及びpHによって顕著に異なり(図1)、次の処方の希薄な無機イオン水が発芽に好適である:0.2mM CaCl2、0.05mM MgSO4、0.05mM KH2PO4、0.5mM NaHCO3、pH7.5。
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[遊走子のう形成温度と発芽水温] 遊走子のうの形成時の気温(10~24℃)は間接発芽可能な水温(間接発芽限界温度)に影響する。形成時の気温が低いほど間接発芽限界温度も低くなる(図2)。水温14℃は遊走子のう形成時の温度と関係なく間接発芽率が高く、発芽水温として好適である。
- [遊走子のうの成熟に好適な温度] 間接発芽の速度は遊走子のう形成後の時間によって異なり、加齢によって生理的に成熟し、速やかに発芽できる能力を獲得する(図3)。成熟に要する時間は気温と水温に影響され、水温22℃は成熟に好適である。
- [間接発芽の同調的誘起法] 疫病菌を塊茎スライスに接種し、17~18℃で6~7日間培養する。遊走子のうを上記無機イオン水に懸濁し、22℃で6時間以上加齢成熟させる。この懸濁液を1時間14℃に保持すると、約90%の遊走子のうから遊走子が同調的に逸出する(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
懸濁液の遊走子のうの濃度が高すぎると発芽速度が若干低下するので、遊走子のう数は1ml当たり30,000個以上とする。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
抵抗性検定
ばれいしょ
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