連作に伴うインゲン及び小麦の根活性の低下と生育収量反応

タイトル 連作に伴うインゲン及び小麦の根活性の低下と生育収量反応
担当機関 北海道農業試験場
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約  インゲンを連作すると、根部が褐変する。とくに下層位の根活性が低下しりん吸収の低下と収量低下をもたらす。小麦の連作も下層位での根活性の低下とりん、吸収の低下をもたらす。輪作と有効土層の確保は根活性の向上に重要である。
背景・ねらい  
 作物の生育収量を高レベルに保ちつつ土壌の持続的な生産力を維持しうる土壌管理及び栽培管理条件を明らかにするため、表土層厚及び作付体系の異なる圃場において、作物の生育収量及び養分吸収の推移、土壌の養水分動態、土壌生物動態等の相互関係を解析する。
成果の内容・特徴
    多腐植質黒ボク土において、表土層厚を15cmから1mまでの7段階とした人工圃場を造成し、1990年以降インゲン大正金時と秋播小麦月寒1号を連作及び交互作で作付した。
    1.インゲンの連作は4作目から著しい収量低下をもたらした。インゲンの初期生育をみると、収量低下が顕著となる以前の連作3年目から根及び胚軸部が著しく褐変した(図1)。
    2.土壌に注入したルビジウムの作物根による吸収を指標とした生育期の根活性は、連作区では交互作区に比べて低く、かつ、10cm深以下の層位で急激に低下し、交互作区では表土層厚の厚い方が根活性が高い(図2)。
    3.子実のりん濃度は連作区の方が交互作区より低い(図3)。
    4.子実1粒中のりん含有率の比(それぞれの処理区における連作区と交互作区の比)は減収率と高い相関を示し(図4)、連作に伴う根活性の低下が根のリン吸収能を低下させ、収量低下をもたらしたと推定した。
    5.子実収量は、連作区では表土層厚の影響が小さく、潅水の効果もなかったが、交互作区では表土層厚が35cm以上で収量が増加し、かつ、潅水の効果も高い(図5)。
    6.小麦でも根活性は連作区<交互作区、25cm層厚区<50cm層厚区となり、根活性低下がリン吸収、ひいては収量低下をもたらしたと考えられる(図6、図7)。
    7.以上の結果から、土壌の持続的な生産力を維持し高収を達成するためには、輪作や有効土層域の確保により根活性を高め、肥培管理や水管理の適正化を図ることが必要である。
成果の活用面・留意点  本試験は多腐植質黒ボク土における根活性による輪作及び有効土層の評価例として活用できる。収量低下には土壌病害の影響も大きい。
図表1 211793-1.gif
図表2 211793-2.gif
図表3 211793-3.gif
図表4 211793-4.gif
図表5 211793-5.gif
図表6 211793-6.gif
図表7 211793-7.gif
カテゴリ 肥料 小麦 栽培技術 肥培管理 水管理 輪作

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