タイトル |
ゴムシートの冬期結氷影響 |
担当機関 |
開発土木研究所 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
ゴムシート等を用いた表面遮水型の小規模な調整池において、冬期湛水した場合、冬期間に水位が一定に保たれ、水位変動の生じない状態では、池敷法部に及ぼす氷圧は小さく、また、ゴムシートの変状はみられない。
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背景・ねらい |
農業用貯水施設には、ゴムシート・瀝青材料等を利用した表面遮水型の小規模な貯水池がある。近年では、貯水池の通年利用も増加しており、また、貯水した状態で越冬する事例も多いことから、冬期利用の場合は、貯水池の結氷・融解に伴う湖面氷盤と池敷との干渉問題を明らかにする必要がある。 冬期間、一定水位を維持した貯水池において、氷盤の変位、池敷斜面部への氷圧等を計測すると同時に、斜面部での越冬後のゴムシートの性状について観察した。
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成果の内容・特徴 |
- 1998年1月~3月の調査期間において、気温・氷圧(氷盤に対して水平・鉛直の2方向)・氷盤変位(池敷斜面から氷盤延長8mの位置で測定)の日変化が顕著であった2月22日~3月7日までの2週間(氷盤上には15~25cmの積雪があった状態)では、氷盤変位の増減に応じて、池敷斜面部に及ぼす氷圧が変動する傾向がみられる(図1)。
- 観測期間全体を通しての、池敷斜面部への氷圧の最大値は水平方向0.24kg/cm2、鉛直方向0.18kg/cm2であり(1998.3.20の観測値)、大きな氷圧は発生しない。
- 池敷斜面部に試験的に設置したゴムシート(寒冷地仕様として開発したEPDM系ゴム)と氷盤との接触状況は、観測期間(1月~3月)を通して、氷盤がシートに密着していたものの、シートへの氷盤のめり込み・引張りはみられない(写真1)。また、越冬後のゴムシートの性状については、削状痕等がみられず、健全な状態が保たれる。
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成果の活用面・留意点 |
- 今回調査した貯水池は冬期間一定水位(満水位)を維持しており、このような水位変動の生じない状態では、池敷斜面部に及ぼす氷圧は小さい。
- 斜面部での氷塊の移動がないことから、ゴムシートの変状はみられず、水位一定によるゴムシートの保護効果は高いと判断する。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
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