タイトル |
長日処理した雌羊に対する雄羊同居およびホルモン処理併用による季節外繁殖 |
担当機関 |
衛生科 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
冬季分娩期(2~3月)に羊舎内を点灯し長日処理を施用した後、非繁殖季節である5月下旬に雄羊を同居させることにより雌羊の発情が誘起され、約50%の受胎率を期待できる。さらに、雄羊同居開始後13日目に500IUのPMSGと15mgのPGF2αを筋注する処理を併用すると、約60%の受胎率を期待できる。
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背景・ねらい |
北海道産ラム肉は、鮮度、風味、安全性等に優れており、需要は徐々に伸びてきているが、通常の1年1産繁殖サイクルではラムの出荷時期が夏から秋に集中してしまい、そのことがラム肉の市場性を狭めている。そのため、年間を通じて安定したラム肉の供給が強く求められている。そこで、2~3月の分娩期に長日処理(羊舎点灯)した雌羊に対して、雄羊同居と生産現場で使用可能なホルモン剤を用いた方法による季節外繁殖について試験を実施した。
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成果の内容・特徴 |
- 分娩期に長日処理(全明)を行った雌羊の雄羊同居による発情誘起率は80%、受胎率80%であった。ホルモン処理2回処理の併用では、発情誘起率は100%、受胎率は71%であり、斉一に発情が誘起され、かつ周期的な発情がみられた。一方、ホルモン2回処理併用でも雄羊同居開始が遅れると、発情誘起率と受胎率は低かった(試験1)。
- 分娩期に長日処理(全明)を行った雌羊の雄羊同居による発情誘起率は83~100%、受胎率50~71%であった。ホルモン1回処理の併用では、発情誘起率は100%、受胎率は67~100%であり、斉一に発情が誘起され、かつ周期的な発情がみられ、雄羊同居開始時のPMSG処理を省略しても大きな影響はないと考えられた(試験2)。
- 分娩期に長日処理した雌羊に対する雄羊同居の効果を、交配期の飼料給与量を3段階にして検討したが、発情誘起率(75~90%)と受胎率(13~50%)にその効果は認められなかった。この試験でホルモン1回処理併用の発情誘起率は100%、受胎率は38%であった(試験3)。
- 以上の結果から、冬季分娩期に点灯による長日処理を施用すると、雄羊同居により発情が誘起され、約50%(13~80%)の受胎率を期待でき、さらに、雄羊同居開始後13日目に500IUのPMSGと15mgのPGF2αを筋注する処理を併用すると、約60%(38~100%)の受胎率を期待できると考えられた。
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成果の活用面・留意点 |
- 季節外繁殖に用いる雄羊は交配能力が確認されたものを使う。
- 雄羊同居では、同居前2~3ヶ月間は雄羊を雌羊から隔離しておく必要がある。
- 分娩時期の2~3月は羊舎内を点灯しておく。本試験での照明は蛍光灯を用いた。
- 照度はめん羊の眼の高さで80lux以上(一番暗いところでも40lux以上)を確保する。
[平成10年度北海道農業試験会議における課題名および区分] 課題名:長日処理した雌羊に対する雄羊同居およびホルモン処理併用による季節外繁殖(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
出荷調整
繁殖性改善
羊
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