| タイトル |
糞尿の多量施用が牧草品質に及ぼす影響 |
| 担当機関 |
衛生科 |
| 研究期間 |
1994~1998 |
| 研究担当者 |
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| 発行年度 |
1998 |
| 要約 |
牧草地への家畜糞尿の多量施用は牧草中のカリウム・硝酸態窒素含量、イオンバランスの上昇を引き起こす。窒素多肥は原料草のCP分解特性に影響するが、サイレージにその影響は反映しない。表面施用した堆肥の牧草収穫時の混入によりサイレージの発酵品質・嗜好性は低下する。
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| 背景・ねらい |
施肥標準を超えた糞尿多量施用は牧草のK、NO3-N含量を増加させ、家畜の代謝障害の一因となることが知られている。本課題では、栄養評価にかかわるCP分解特性、散布堆肥の収穫時混入の影響、乳牛による利用性などの観点も加え、糞尿多量施用による牧草品質への影響を評価した。
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| 成果の内容・特徴 |
- 糞尿を多量施用している22戸の農家を調査した。糞尿施用量は最大で牧草地(表面施用)で120t/ha、とうもろこし畑で200t/haであった。調査圃場は全般的に表層土壌の養分含量および粗飼料のK含量が高い傾向があった。一部とうもろこし圃場(スラリー200t/ha/年施用)で心土層の硝酸態窒素・交換性K含量が極めて高く(図1)、地下水汚染の危険性が示された。
- 化学肥料標準量に糞尿を上乗せして春施用したところ堆肥20t、尿10t/haといった比較的少量の施用でも、1番草中のCP、K、NO3-N含量およびイオンバランス(K+-Cl-)が顕著に上昇した。(表1)。
- 原料草中に蓄積したNO3-Nは、高水分条件でサイレージ調製することにより低下したが、NO3-Nが消失したサイレージはNH4-N含量が高く(図3)、発酵品質が劣った。サイレージ化によるNO3-N低減と発酵品質とは両立しないことから、原料草におけるNO3-N蓄積予防の重要性が示された。
- 窒素多肥(施肥標準の3倍)により原料草のCP中溶解性分画割合の増加がみられた(図2)が、そのような傾向はサイレージには反映せず、調製条件による影響が大きいことが推察された。
- Cr標識した堆肥を牧草地に50~100t/ha施用し、ハーベスタによる収穫時の混入量を調査したところ、わらを多く含んだ生堆肥で散布量の13~17%、腐熟した堆肥で2~7%が混入した。堆肥を3~7%混入させて調製したサイレージは酪酸含量の増加(表2)、嗜好性の悪化(表3)がみられた。
- 泌乳後期牛に対し、糞尿の多量施用によりCP、K含量の高くなった牧草サイレージを含むTMRを給与した結果、飼料摂取量や乳生産には影響が認められなかったが、尿のpHおよび血中尿素態窒素が影響を受け、泌乳牛の代謝生理への影響が示唆された。
- 泌乳後期牛に対し、糞尿の多量施用によりCP、K含量の高くなった牧草サイレージを含むTMRを給与した結果、飼料摂取量や乳生産には影響が認められなかったが、尿のpHおよび血中尿素態窒素が影響を受け、泌乳牛の代謝生理への影響が示唆された。
- 以上のように、施肥標準を超えた糞尿の多量施用は、牧草品質に対し泌乳牛への給与上望ましくない影響を及ぼした。糞尿施用の際には肥料成分含量を調べ、施肥標準量を超えないように化学肥料を減肥する必要がある。
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| 成果の活用面・留意点 |
- 草地に施用した堆肥が収穫時に混入すると、サイレージ品質を悪化させる。腐熟化や草地上の堆肥塊をパスチャーハローで拡散することで混入量は低減できる。
[平成10年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分] 課題名:糞尿の多量施用が牧草品質に及ぼす影響(指導参考)
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| 図表1 |
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| 図表2 |
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| 図表3 |
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| 図表4 |
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| 図表5 |
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| 図表6 |
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| カテゴリ |
肥料
施肥
とうもろこし
乳牛
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