タイトル |
くさび症状米の発生原因 |
担当機関 |
北海道立中央農業試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
近年各地で発生が目立っている発生原因不明の黒点米類似症状の一種、くさび症状米について、虫害とする観点から原因解明試験を行った結果、本症状は虫害以外の要因によるものであることが判った。
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背景・ねらい |
近年各地で発生が認められている発生原因不詳の黒点米類似症状は、北海道においてもくさび症状米と呼ばれ、問題となっている。本症状米を虫害とする観点から発生原因解明を行い、その被害防止対策に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 以下の理由により、くさび症状米の発生原因は虫害ではないと考えられる。
- 発生状況調査において、本症状の発生は薬剤(殺虫剤)散布とは関係が認められなかった。また、虫害粒である斑点米の発生とも関係が認められず、害虫の発生密度との関係も認められなかった(図1)。
- 水田に生息しイネに寄生する小昆虫類(カメムシ、ウンカ、アブラムシ、アザミウマ、ホコリダニ)を放飼して症状の再現試験を行った結果、食害粒が生じることはあったものの、本症状は生じなかった(表1,表2,表3)。
- 殺虫剤を多回数散布した結果、斑点米は減少したが、本症状は減少しなかった(表4)。黒点米を起こすイネシンガレセンチュウは、道内に存在しない。
- 以下の現象や傾向から、本症状の発生には虫害以外の要因が関与していると考えられる。本症状の発生は、1.中苗栽培より成苗栽培で多い、2.紅変米の発生と相関がある、3.収穫期が遅いほど多い、4.不明瞭ながら品種間差がある、5.水田内の発生分布の偏りは、水深や水稲生育のわずかな不均一とほぼ一致する、6.水田の雨よけ処理で発生が明らかに減少した、5.育種材料中に著しい多発生系統が観察された。
- 本症状は、0.01~0.1%程度の粒率で道内に広く発生している。
- 本症状は、粒厚選別によってある程度除くことができる。
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成果の活用面・留意点 |
- 今後の発生原因解明の参考資料とする。
- くさび症状米は虫害ではないと考えられるので、虫害であるとの前提に立った殺虫剤散布などの防除対策は必要ない。
[平成年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分] 課題名:くさび症状米の発生原因(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
育種
害虫
カメムシ
水田
発生要因分析
斑点米
品種
防除
薬剤
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