タイトル |
ばれいしょの紙筒移植栽培によるそうか病の発病回避 |
担当機関 |
北海道農業試験場 |
研究期間 |
1998~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
ばれいしょ健全苗の紙筒移植栽培により、そうか病汚染土での発病が回避される。本手法は、病原菌に感受性の高い、初期の未熟新塊茎を紙筒により隔離し、その後は塊茎肥大に伴う抵抗力の増加を利用するものである。
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背景・ねらい |
ばれいしょの主要生産地帯で、難病であるそうか病による被害が大きな問題となっている。現在、決め手となる防除法は確立しておらず、その対策が急がれている。本病の初期感染は新塊茎形成初期であるとされている。本研究は、この時期の発病を回避する方法として、ばれいしょの紙筒移植栽培に着目し、これによる発病軽減あるいは回避の可能性を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- マイクロチューバあるいは無病種いも切断塊茎を紙筒(規格5号:V-5-7.5H、径5cmx高さ7.5cm)内の無病育苗土に播種する。2週間~1.5カ月間育苗したのちStreptomyces turgidiscabiesによるそうか病汚染土に紙筒移植栽培すると、紙筒を剥がして移植した栽培あるいは慣行の直播栽培に比較して、発病が著しく軽減する(図1及び2)。
- 品種「男爵薯」を用いた試験では、紙筒の口径が大きいほど、発病回避の効果が高くなる(図2)。
- 紙筒内育苗土への病原菌接種位置と発病との関係みると、種いもの周りに形成される新生塊茎は、病原からわずかに離れただけで、発病が減る(表1)。
- 紙筒内の新生塊茎の肥大に伴い紙筒が破れるが、病原菌に対する抵抗力は塊茎の肥大と共に増加する(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果は、無病の種いもと育苗土を用い、そうか病菌に汚染した圃場に適用する。ばれいしょの早期出荷(前進)栽培地帯での適用が期待されるが、技術の普及にあたり、特にS.scabies発生地帯での現地実証試験が必要である。
- 現地実証試験にあたり、ばれいしょの既往の紙筒育苗技術や紙筒移植機械化技術(昭和62年度北海道農業試験会議指導参考事項)や現行の移植栽培技術を参照する。
- 紙筒移植栽培にあたり初行に品種間差がみられる場合があり、品種特性を明らかにする必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
機械化
栽培技術
直播栽培
出荷調整
播種
ばれいしょ
品種
防除
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