畑作物に対する堆肥の連用限界量の設定と減肥対応

タイトル 畑作物に対する堆肥の連用限界量の設定と減肥対応
担当機関 北海道道立十勝農業試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 環境に窒素負荷を与えず、しかも、畑作物の高品質多収が可能となる堆肥の連用限界量は3t/10a/年程度である。3t連用時の窒素減肥可能量は、4年目までは1kg/tで、その後は連用により漸増する。加里減肥は堆肥含有量相当が可能である。また、10月中旬以降の堆肥施用では硝酸化成程度は低いため、流亡の危険性も少ない。
背景・ねらい 環境に負荷を与えず、しかも、畑作物(てんさい、ばれいしょ、あずき、小麦)の高品質多収が可能となる堆肥の連用限界量を明らかにするとともに、堆肥連用時の適切な減肥量を設定する。さらに、施用時の環境負荷を防ぐために、施用時期についても検討する。
成果の内容・特徴
  1. 堆肥を連用した場合、全般に生育は旺盛となり、増収となる事例が多い。しかし、6t、9t連用ではてんさいのT/R比の増大、修正糖分の低下、ばれいしょでん粉価の低下、あずきの過繁茂による倒伏などが認められた。したがって、堆肥の連用施用は3t/10a/年程度が限界である(表1)。
  2. 堆肥の連用量が増すほど土壌中の硝酸態含量および70cm下層の土壌溶液中硝酸態窒素濃度が高まり、環境に負荷をかけない堆肥の施用限界は3t/10a/年程度である(図1)。
  3. 堆肥3t連用における窒素減肥可能量は、4年目くらいまでは1kg/t程度、5~10年では2kg/t程度、10~20年では3kg/t程度である。加里については堆肥に含まれる加里含有量を評価し、投入量程度の減肥が可能である。(図2、表2)
  4. 堆肥施用に伴い基肥窒素量を減らすと、窒素欠乏により初期生育が不良となる危険が大きい。したがって、あずきでは2kg/10a程度、生食用ばれいしょでは3kg/10a程度、てんさい・小麦では4kg/10a程度のスターター窒素の施用が必要である(表3)。
  5. 堆肥施用時期が早いとアンモニア態窒素が硝酸化成されるため、降雨等により流亡する危険性がある。10月中旬以降では流亡の危険性は少ない(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 堆肥に含まれる窒素や加里は変動幅が大きいため、窒素および加里の減肥量の設定に当たっては、施用堆肥の分析を行うことが望ましい。
  2. 本試験成果は褐色火山性土や沖積土など窒素肥沃度の低い土壌に適応する。黒色火山性土や泥炭土など窒素肥沃度の高い土壌においては堆肥3t連用でも農産物の品質低下や環境への窒素流亡を招く危険性がある。
[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名および区分]
課題名:畑作物に対する堆肥の連用限界量の設定と減肥対応(指導参考)
図表1 212041-1.gif
図表2 212041-2.gif
図表3 212041-3.gif
図表4 212041-4.gif
図表5 212041-5.gif
図表6 212041-6.gif
カテゴリ 肥料 あずき 小麦 てんさい ばれいしょ

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