チゼルプラウを用いた荒起しによる水田の乾燥促進技術

タイトル チゼルプラウを用いた荒起しによる水田の乾燥促進技術
担当機関 北海道農業試験場
研究期間 1999~1999
研究担当者 粟崎弘利
大下泰生
渡辺治郎
湯川智行
平岡博幸(国際農研)
発行年度 1999
要約 チゼルプラウを用いて水田の荒起しを行い、土壌の乾燥を促進させる技術。従来のロータリ耕起に比べて土壌の乾燥が早く、降雨後も表面水が迅速に排水され、作業速度が約2倍であるため作業能率も高い。
背景・ねらい 乾田播種早期湛水栽培(乾田直播)では畑状態で播種するため、砕土性が播種精度に大きく影響する。砕土性を高めるためには圃場をできるだけ乾燥させる必要があり、融雪後の乾燥促進や降雨後の迅速な排水は重要な要素である。従来はロータリ耕うん作業機(ロータリ)により荒起し(簡易耕起)を行っていたが、作業能率が低く、砕土性が高いものの、いったん降雨があると圃場の乾燥が遅れ、適期に播種作業ができない問題があった。そこで、チゼルプラウを用いた荒耕しについてロータリと比較し、乾燥促進効果と作業性能を検討する。
成果の内容・特徴
  1. チゼルと呼ばれる細い鉄の爪を25~30cm間隔で配列し、トラクタでけん引して作土層を深さ約15㎝までひっかくように耕起するチゼルプラウ(図1)を用いて水田の荒起しを行い、土壌の乾燥を促進させる技術である。
  2. 融雪後、チゼルプラウで荒起しを行うと爪で耕起された部分は細かく砕土され土塊の間隙が大きく、爪と爪の間の部分は土塊が大きい構造となり、通気性や排水性が向上することにより、ロータリ耕起やまったく荒起しをしない未耕起に比べて土壌水分が早く低下する(図2)。また、降雨後はロータリ耕起のように下層の土塊の間隙に保水することがなく、表層および下層とも土壌水分が短期間に低下する(図3)。
  3. チゼルプラウで耕起すると大きな土塊が縦方向の荷重を支持するため、土塊の小さいロータリ耕起に比べて地耐力が大きく、トラクタの走行性が向上する(図3)
  4. ロータリは作業速度が上がると耕うんピッチが大きくなり砕土性が低下するが、チゼルプラウは砕土性の低下が少なく、トラクタの出力に応じて作業速度を速めることができる。同一出力のトラクタであればチゼルプラウはロータリの約2倍の速度で作業が可能で、作業能率が高い(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 乾田直播のみならず移植栽培の荒起しにも利用できる。
  2. チゼルプラウの耕深が大きいと耕盤を破砕し、乾田直播では漏水が多くなり、移植栽培では耕盤の凹凸により田植機の走行性が低下するため、耕深を10~15㎝に留める。

平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:チゼルプラウ耕起と給排水明渠による圃場の乾燥促進技術(指導参考)
図表1 212063-1.gif
図表2 212063-2.gif
図表3 212063-3.gif
図表4 212063-4.gif
カテゴリ 乾燥 乾田直播 水田 排水性 播種

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