タイトル |
牛胚性判別技術の現場応用 |
担当機関 |
北海道立新得畜産試験場 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
陰山聡一
山本裕介
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発行年度 |
1999 |
要約 |
牛胚性判別技術の現場応用として、性判別を行う施設に回収した胚を持ち込んでサンプリングしたのち、移植場所へ輸送し、その間に性判別を行う方法(胚輸送方式)と、農家の庭先で胚回収から、性判別、移植までを行う方法(庭先方式)とについて有効性を検討し、どちらも利用できることを実証した。
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背景・ねらい |
PCRによる牛胚の性判別技術の普及・定着をめざし、北海道全域をカバーするために、胚輸送方式(近距離対応)と、庭先方式(遠距離対応)の2つの方式を設定し、その有効性を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 胚輸送方式
(1)胚回収頭数は12頭、性判別に供試した胚数は125個で、性別判明率は92.0%であった。移植頭数は52頭で、受胎率は50.0%(23/46)であり、調査期間中に分娩に至った産子5頭の性別は判定結果と全て一致していた(表1および表2)。 (2)胚の発育ステージおよびランクによって受胎率は大きく影響を受けた(表3)。 (3)供試胚数30個程度であれば、胚回収から移植までを1日の作業(勤務時間内での対応)として可能と思われた。
- 庭先方式
(1)ET車内(図1)で胚検索、サンプリング、およびPCRなどの作業を3人で分担し並行して行うことにより、最も効率的に作業することができた。 (2)作業環境の清浄度を保つため、ET車内と車外での作業者を分け、ET車は前日に設置して殺菌灯を点灯した。これまでのところ異物混入による誤判別は発生していない。 (3)胚回収頭数は19頭、性判別に供試した胚数は64個で、性別判明率は90.6%であった。移植頭数は29頭で、受胎率は20.7%(6/29)であり、分娩に至った産子6頭の性別は判定結果と全て一致していた。(表4および表5)。 (4)採取した胚は桑実胚が約60%と若い胚が多く、また、胚のランクはBおよびCランクが50%を占めていた。このことが低受胎率の原因のひとつと考えられた(表6)。
- PCRおよび電気泳動時間の短縮により、PCR所要時間は4時間から3時間弱にすることができた。
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成果の活用面・留意点 |
- 低品質胚および若齢胚の性判別後の受胎率は低いので、良質で適切な発育ステージの胚の利用を基本とする。
- 移植する胚がない場合(胚が回収されない、胚の品質が悪い、胚の発育ステージが若すぎる、判別結果が雄ばかりなど)を想定して、凍結胚の準備などをあらかじめ計画しておくこと。
平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分 課題名:農家の庭先における牛胚の性判別実証試験
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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図表7 |
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カテゴリ |
輸送
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