水稲乾田直播における高タンパク種子の初期生育促進効果と生産方法

タイトル 水稲乾田直播における高タンパク種子の初期生育促進効果と生産方法
担当機関 北海道農業試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者 粟崎弘利
大下泰生
渡辺治郎
湯川智行
発行年度 2000
要約 タンパク質含有率9%以上の高タンパク質種子を利用すると寒地の乾田直播水稲の初期生育を促進できる.また,高タンパク質種子は出穂期に,淡色黒ボク土及び灰色低地土では10kg/10a,泥炭土では5kg/10aの窒素追肥により生産できる.
背景・ねらい 水稲の寒地乾田播種早期湛水栽培(乾田直播)における発芽,苗立ちの良否は,収量に大きく影響を与える要因であり,発芽,苗立ち安定化法の開発が求められている.これまでに,寒地乾田直播において,タンパク質含有率の高い種子(高タンパク質種子)の利用により,発芽,苗立ちを向上できることを明らかにしたが,ここでは,高タンパク質種子の初期生育促進作用と高タンパク質種子の効果的な生産方法について検討する.
成果の内容・特徴
  1. 播種深度が異なる条件下で,高タンパク質種子は草丈及び葉齢を促進することができる.特に播種深度が1cmより深い場合にその効果は顕著である(図1).
  2. 乾田直播の栽培体系下で機械播種を行った場合,高タンパク質種子は初期生育を促進することができる(図2,3).特に,草丈,乾物重の促進効果が大きい.
  3. 初期生育の促進効果及び苗立ちの向上効果は,種子中のタンパク質含有率が9.2%,9.6%,9.9%の時に認められ,効果発現のためのタンパク質含有率は9%以上が必要である(図4).
  4. タンパク質含有率9%以上の種子を生産するためには,窒素施用量の合計で淡色黒ボク土及び灰色低地土水田の場合には20kg/10a,泥炭土水田の場合には10kg/10aの施用が必要である(図5).
  5. この場合,基肥半量に加えて出穂期に半量の追肥を行うことにより,倒伏等を抑え栽培管理しやすく効果的に高タンパク質種子を生産できる.
成果の活用面・留意点
  1. 寒地の乾田直播水稲の初期生育を促進でき,苗立ちの向上につながる.
  2. 窒素施用による倒伏,病害発生,成熟期の遅れ,また後作の肥培管理に留意する.
  3. 乾田直播で用いられている品種「ゆきまる」に適用する.
  4. 本情報は「種子内窒素は水稲幼植物の生育を速め苗立ちを向上させる」(北陸農業研究成果情報 第14号)及び特許第3044295号「水稲種子の生産方法」に基づき,寒地の乾田直播向け技術として開発したものである.特許許諾については北陸農業試験場企画科(0255-26-3212)に問い合わせる.

平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:タンパク質高含有率種子を利用した乾田直播水稲の苗立ち安定化法(指導参考)
図表1 212202-1.jpg
図表2 212202-2.jpg
図表3 212202-3.jpg
図表4 212202-4.jpg
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カテゴリ 寒地 乾田直播 栽培技術 栽培体系 水田 水稲 播種 肥培管理 品種

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