タイトル |
北海道における水稲乾田直播栽培の導入効果 |
担当機関 |
北海道農業試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
相原克磨
田中基晴
吉川好文
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発行年度 |
2000 |
要約 |
乾田直播を導入した経営では,春作業の大幅な省力化による労働ピークの平準化と,単位面積当たり移植対比で10%程度のコスト低減(物財費)を実現している。新たな転作対策下においても,大規模経営では転作比率の変動に対応した柔軟な土地利用計画,複合経営では労働集約作の作付拡大効果が期待される。
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背景・ねらい |
北海道における乾田直播の営農実証データをもとに,直播栽培の導入意義を明らかにする。また,作業リスクを加味した経営モデルを用いて,「水田農業経営確立対策」下における乾田直播技術の導入効果を把握する。
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成果の内容・特徴 |
- 北海道における乾田直播の導入効果は営農レベルで実証されてきており,作業時間は11hr/10a程度(移植栽培比65%)を実現している。
- 移植栽培では育苗播種と田植作業時に著しい作業ピークが形成されている。乾田直播の導入により,春作業の労働ピークが平準化され,夫婦2人で稲麦20ha規模の作業が可能な水準になっている(図1)。
- 10a当たり生産コストでは,労働費を含めた費用合計で移植対比14%の低減効果が認められる。物財費合計では,粉衣剤・除草剤経費が増加するものの育苗関連経費が大幅に削減され,また直播専用機械の共同利用によって減価償却費が抑えられ,9%のコスト低減を実現している(表1)。
- 新たな「水田農業経営確立対策」においては,米の需要動向に対応した水田利用が求められる。大規模モデル(経営面積30ha,稲・麦・大豆)では,移植栽培のみの場合は稲作面積が約18haで限界となる。直播を導入した場合,収量水準が移植栽培より30kg/10a低い510kg/10aとしても,6ha程度の直播面積が最適導入規模となり,稲作面積の拡大につながる(転作比率が25%のケース)。また,転作比率の変動に対しても直播面積の増減による対応によって,柔軟な土地利用計画が可能となる。さらに,移植品種と同等の価格水準と無粉衣播種程度のコスト削減が実現されれば,直播栽培を主体とした作付構成に転換する可能性が示される(表3)。
- 複合モデル(経営面積14ha,稲・メロン・かぼちゃ)では,乾田直播を導入することにより,経営面積が維持されるとともにメロンの作付拡大も可能となる。また,転作割当が無いと仮定すると,乾田直播は7.5haまで導入され水稲作付面積も大きく増大する(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
経営モデルは,夫婦2世代専従経営を前提にした分析結果である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
かぼちゃ
乾田直播
経営管理
経営モデル
コスト
直播栽培
省力化
除草剤
水田
水稲
大規模経営
大豆
低コスト
播種
春作
品種
メロン
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