タイトル |
低温下における堆肥化発酵促進のための通気制御と加熱 |
担当機関 |
北海道農業試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
向 弘之
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発行年度 |
2000 |
要約 |
低温下の堆肥化では、材料中への通気量を減ずる必要がある。少量の通気と初期の加熱で、材料温度の昇温が確実になる。通気供給側の下層は昇温しにくいが、上層が高温のときに通気方向を反転すれば、全層の材料を高温に曝すことができる。
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背景・ねらい |
堆肥化過程での材料の昇温が不十分な堆肥は、雑草種子等を含む可能性から引取り手が少なく、その処分が困難になる。一般に冬期間は、材料の昇温が不十分になり易いが、寒冷地では特にその傾向が著しい。堆肥材料中への通気は、好気的な状態を維持して発酵を促進する反面、低温下では材料を冷却して発酵の停滞をもたらすことがある。また堆肥材料は断熱性が高く、発酵が起動するまでのみの加熱で、十分な材料の昇温を得られる可能性がある。そこで、低温下の堆肥化における通気方法と堆肥化初期の材料加熱を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 本情報は、寒冷地の冬期を想定した-10℃の恒温室内で、実施設の堆積状態を再現するよう工夫された堆肥化実験装置(図1)を用い、牛糞と未粉砕モミガラを混合物して含水率を66~74%に調製した材料を供試した堆肥化実験で得られた結果である。
- 材料の初期温度が0~5℃、通気空気温度が-10℃、無加熱の条件では、適正通気量とされる材料1m3あたり0.1m3/分を適用しても、材料温度はほとんど上昇しない(図2)。
- 材料の初期温度が0℃以上の場合、無加熱であっても、通気量を適正とされる量の5分の1(0.02m3/分・m3)程度にすれば、上層は十分に昇温する。しかし下層の温度上昇は小さく、雑草種子等の死滅の目安とされる60℃に達しない(図3)。
- 材料の初期温度が-1℃以下、無加熱では、通気量を調節しても材料は昇温しない。
- 通気量を0.02~0.05m3/分・m3として、堆肥化初期の1~3日間、6~15kWh/m2の加熱を行えば、材料の初期温度が-1℃以下でも、材料は短時間に昇温し、全層が雑草種子等の死滅条件である60℃・24時間を満たす(図4)。無加熱に比べ有機物分解率も高い。
- 通気供給側の下層の温度は上がりにくいが、上層の温度が高いうちに通気方向を反転することで、下層についても雑草種子等の死滅条件を満たすことができる(図5)。
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成果の活用面・留意点 |
- 材料の含水率は適度に調整されていることを前提としている。
- 材料の堆積方法や質により、実際の昇温に要する熱量は増減する可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
雑草
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