黒毛和種の発育・哺育能力の育種価評価

タイトル 黒毛和種の発育・哺育能力の育種価評価
担当機関 北海道立畜産試験場
研究期間 1999~2000
研究担当者 宮崎 元
山本裕介
酒井稔史
小林茂文
川崎 勉
荘司 勇
藤川 朗
発行年度 2000
要約 生時、2か月および子牛市場出荷時体重に関する直接遺伝効果と母性遺伝効果を予測することにより、黒毛和種の発育能力と哺育能力の育種価評価が可能である。近親交配は発育・哺育能力に負の影響を及ぼしており可能な限り避けるべきである。
背景・ねらい 北海道の黒毛和種の枝肉形質に関する育種価は公開されているが、子牛の発育能力や繁殖雌牛の哺育能力に関する育種価情報は利用できない現状にある。そこで発育能力と哺育能力に関する遺伝的検討を行い、これらの形質に関する育種価評価を行う。
成果の内容・特徴
  1. 生時体重と2か月体重に関する育種価評価
    直接遺伝効果の遺伝率は0.3~0.4であり、母性遺伝効果の遺伝率は0.15前後の値である(表1)。アニマルモデルにより種雄牛と繁殖雌牛の育種価評価を行うことが可能である。
  2. 分娩難易度と受動免疫に関する育種価評価
    分娩難易度の遺伝率は非常に低く育種価評価は困難である。生後2日目のIgG濃度の母性遺伝効果の遺伝率は約0.3と中程度の値であり(表1)、2か月DGの母性遺伝効果の育種価との間には高い相関が認められる(r=0.68)。
  3. 子牛市場出荷成績に関する育種価評価
    直接遺伝効果の遺伝率は0.2と中程度の値であるが母性遺伝効果の遺伝率は0.1以下の低い値である(表2)。しかし2か月と出荷時の母性遺伝効果の育種価間の相関が高いことから子牛市場出荷成績を用いた種雄牛の哺育能力の育種価評価は可能である(図1)。
  4. 発育・哺育能力の育種価評価値の利用法
    子牛の脂肪交雑の期待育種価と市場価格との間には高い相関が認められる(r=0.65)。出荷時体重と脂肪交雑の育種価によりそれぞれ系統の特徴が把握できる。
  5. 発育・哺育能力と子牛市場出荷成績に及ぼす近親交配の影響
    子牛と母牛の近交係数は子牛の発育に負の影響を及ぼしており、近交退化率は2か月齢で大きい(表3)。市場で低く評価される系統内交配もあるので、近親交配は可能な限り避けるべきである。
成果の活用面・留意点
  1. 種雄牛・繁殖雌牛の発育・哺育能力の育種価は交配計画・淘汰更新の指標となる。
  2. 発育・哺育能力の育種価は枝肉成績の育種価と併せて利用する必要がある。

平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名および区分
課題名:黒毛和種の発育・哺育能力の育種価評価(指導参考)
図表1 212264-1.jpg
図表2 212264-2.jpg
図表3 212264-3.jpg
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カテゴリ 育種 出荷調整 繁殖性改善

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