タイトル |
エゾシカの飼料利用特性 |
担当機関 |
北海道立畜産試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
エゾシカの乾物摂取量および消化管内滞留時間に季節変動がある。乾物消化率は季節変動が少ない。1日の排糞回数は6~10月で9.7~14.3回/日であり、糞100粒の乾物重量から1日の乾物摂取量が推定可能である。
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背景・ねらい |
近年、エゾシカの過増加による農林業被害が深刻な社会問題となり、適正な保護管理の実行とそれを支えるモニタリング体制の整備が急務となっている。そこで、エゾシカの飼料利用性に関する基礎的試験および個体密度の算出手法である糞塊密度調査法の基礎資料となるエゾシカの排糞に関する調査を実施する。
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成果の内容・特徴 |
- エゾシカの秋期および冬期の代謝体重当たり乾物摂取量は、冬期は秋期に比較して約5割減少し、明らかな季節変動がある(表1、2)。消化管内滞留時間についても季節変動があり、夏期より冬期が短い(図1)。
- エゾシカの乾物消化率は、秋期および冬期でやや低いが季節変動は少ない。めん羊より低い傾向にあるが、差は有意ではない。
- めん羊と比較するとDCPでは乾草給与時の冬期でエゾシカが高いが、TDNには全ての季節で差がなく、めん羊の栄養価が利用可能である。
- 冬期のクマイザサの摂取量は3.0~17.4g/W0.75と非常に低く、摂取量および採食部位に個体差が見られる。乾物消化率も30.4~35.3%と非常に低い。
- 牧草の草種別乾物摂取量は、エゾシカでは粗蛋白質含量と、めん羊ではADF含量との相関が高い。
- エゾシカの枝肉歩留は64.0%であり、精肉歩留は82.5%である。
- エゾシカの1日あたりの排糞回数は6~10月で9.7~14.3回/日である。また、糞の100粒当たりの乾物重量から1日当たりの乾物摂取量が推定可能である(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- エゾシカの適正な保護管理や有効利用のための基礎的な資料として活用できる。
- 飼育条件下での実施であり個体差も大きいので、成績の利用には留意が必要である。
平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分 課題名:エゾシカの飼料利用性(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
季節変動
シカ
飼料利用性
羊
モニタリング
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