タイトル |
かんきつ中間母本農3号 |
担当機関 |
果樹試験場 |
研究期間 |
1993~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
「F.N.ワシントン」ネーブルオレンジと「マーコット」タンゴールの間で育成された種間細胞融合雑種で四倍体の品種である。果皮が厚く,弱いオレンジ香の,柔軟多汁で酸味の強いカンキツである。花粉稔性を有するため,育種素材として使用できる。
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背景・ねらい |
交雑では雑種を育成するのが困難な「F.N.ワシントン」ネーブルオレンジと「マーコット」タンゴールの間で細胞融合法により雑種を作出し,得られた体細胞雑種を育種素材として利用する。
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成果の内容・特徴 |
- 「F.N.ワシントン」ネーブルオレンジの珠心カルス由来のプロトプラストと「マーコット」タンゴール実生の葉肉由来のプロトプラストを融合して育成した体細胞雑種で,平成7年8月に「かんきつ中間母本農3号」として登録・公表された。
- 樹の大きさ樹勢ともに中。枝梢は太く,節間長は長い。枝梢に太く長いトゲが発生する。葉は緑色が濃く,幅が広い。翼葉は小さい。花弁は白色で幅がやや広い。めしべの発達が不完全な花も見られるが,正常な花では子房は球形で小さい。花粉は充実しており,花粉量も多い。花粉稔性は84.1%で,発芽率は13.5%である(表1)。ネーブルオレンジは雄性不稔であるが,本中間母本は稔性を有する。開花期はオレンジとほぼ同時期で,育成地では5月中~下旬である。
- 果実は130gで,果形は長球。果頂部が窪む。果皮は黄橙色で,弱いオレンジ香を有しており,著しく厚い。果面は粗く,剥皮は容易である。果肉は橙色で,柔軟多汁。果肉にも弱いオレンジ香がある。しかし,じょうのう膜に若干苦みがある。12月中旬の分析では,果汁中の糖度は屈折計示度で13.4%と高いが,クエン酸含量が1.78%と高く(表2),成熟期は2月中・下旬と考えられる。種子は多胚性である。
- 「サザンレッド」,クレメンティンなどとの交雑により三倍体実生が得られることを確認している(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
無核品種の育成に三倍体の利用が試みられているが,本中間母本は花粉稔性を有することから,二倍体との交雑により三倍体実生を作出することが可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
ネーブル
品種
その他のかんきつ
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