タイトル |
ビワ新品種「陽玉」 |
担当機関 |
長崎県果樹試験場 |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
ビワ新品種「陽玉」は「茂木」に「森本」の花粉を交雑して育成した。果実は橙黄色・大果で外観が優れ,果肉は柔軟多汁で,糖酸のバランスがよい良食味の中生品種である。
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背景・ねらい |
ビワの栽培品種は,「茂木」及び「田中」の2品種に代表される。「茂木」は品質面で優れているが,果実の大きさには問題を残しており,逆に,「田中」は大果であるが,品質がやや劣る。そこで,両者の利点を兼ね備え,大果で品質が優れた品種の育成を試みた。
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成果の内容・特徴 |
- 長崎県果樹試験場において,昭和48年(1973)に「茂木」に「森本」の花粉を交雑して育成した実生の中から選抜された。個体番号は73-350である。昭和63年(1988)より「ビワ長崎4号」の系統名でビワ第1回系統適応性検定試験に供試して検討を重ねた結果,優秀と認められ,平成8年(1996)8月21日付けで「びわ農林3号」として登録・公表された。
- 果実の大きさは60g程度で,明らかに「茂木」よりも大きい(表2)。果形は短卵形から長卵形で,果皮色及び果肉色は橙黄色で,着色の揃いも良く,外観は良好である。収穫初期に紫斑症の発生が見られることがあるが,概ね果実の生理障害の発生は少ない(表1,2)。
- 果肉は柔軟多汁である。果汁糖度は平均12.3%とあまり高くないが,糖酸のバランスがよく,食味は「茂木」よりやや優れている(表1,2)。果皮の剥皮性は良好である。
- 育成地において6月上旬に成熟する中生種で,「茂木」より若干遅く収穫される(表1,2)。
- 樹姿は直立性,樹勢はやや強い。枝の発生は中程度で,着花性は「茂木」より劣るが,大果であるため,「茂木」と同程度の収量が期待できる。また,開花期は「茂木」とほぼ同時期である。がんしゅ病には弱い。
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成果の活用面・留意点 |
- 「茂木」より大果で,優れた品質を有する中生品種として普及することが見込まれる。
- 着花性がやや劣るので,枝の誘引などにより結果枝の確保に努める。
- 施設栽培に導入する場合,特に収穫初期において紫斑症が発生することがあるので,袋の種類,施設内の温度管理などを検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
温度管理
施設栽培
新品種
生理障害
びわ
品種
良食味
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