アブラムシ技法によるカンキツの篩管液採集

タイトル アブラムシ技法によるカンキツの篩管液採集
担当機関 果樹試験場
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 カンキツ実生を吸汁中のアブラムシの口針をレーザーメスで切断し,密封処理による乾燥防止を行うことで溢出する篩管液を採集することができる。この方法は成分分析に十分な量の,しかも純度の高い篩管液を採集することが可能である。
背景・ねらい
篩管は,導管とともに植物内における物質転流及び情報伝達の主要経路であり,これらに関する詳細な研究のためには純度の高い篩管液を採集する必要がある。しかし,篩管液の採集は一般的に難しく,特に,ほぼ純粋な篩管液が得られるアブラムシ技法(吸汁中の昆虫の口針を切断し,そこから溢出してくる篩管液を採集する)は,これまで限られた植物でしか成功していない。カンキツではカイガラムシを使ったアブラムシ技法で篩管液が出てくることを確認した報告があるが,カイガラムシの飼育は極めて難しく,汎用性に乏しい。そこで,飼育が容易なアブラムシを用いた,カンキツの篩管液採集法を検討した。
成果の内容・特徴
  1. カンキツ実生から吸汁中のミカンクロアブラムシの口針をレーザーメスで切断すると篩管液が溢出してくることを確認した(図1,2)。
  2. 切断した口針からの篩管液の溢出速度は0.005~0.05μl/hrと極めて遅く,乾燥防止対策を行わないと溢出の確認もできなかった。すなわち,アブラムシ技法によるカンキツの篩管液採集には,ポリエチレンフィルムによる密封処理等の乾燥防止対策が重要であった。溢出期間は1~3日間と長く,成分分析に十分な量を採集可能であった。
  3. 溢出液は,pHが8前後と他の植物の篩管液のpHと一致したうえ,植物組織に多く含まれているγ-ABAが極めて少なかった。このことから純度の高い篩管液が採集できていると考えられた。成分分析の結果,カンキツの篩管液には各種アミノ酸,無機塩類,糖類等多くの成分が含まれていることが明らかとなった。成分の種類及び含有量はイネやコムギ等他の植物の篩管液と類似していたが,有機酸が多いこと,及びアミノ酸のうちプロリンとメチオニンがやや多いという特徴があった(表1)。
成果の活用面・留意点 篩管における物質の転流や情報の伝達の研究に利用できる。
図表1 212878-1.gif
図表2 212878-2.gif
図表3 212878-3.gif
カテゴリ 乾燥 その他のかんきつ

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