草生リンゴ園における窒素の適量施肥による果実品質の向上

タイトル 草生リンゴ園における窒素の適量施肥による果実品質の向上
担当機関 福島県果樹試験場
研究期間 1994~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 窒素を多肥するとリンゴ樹の生育は旺盛であったが,収量,果実重への効果はなかった。また,着色良果率,果汁糖度,果肉硬度は低い値を示し,10年以上経過すると生育量の低下が大きい。窒素は5kg/10a程度で十分であった。
背景・ねらい
1960年頃のリンゴ園では,窒素の過剰施肥による果実品質の低下や土壌悪化が進行し,合理的施肥法の確立が要請された。そこで,褐色森林土ほ場(有効土層60cmの年間無機化窒素量26kg/10a)において,マルバカイドウ台紅玉の3年生苗木を1966年に定植し,1972年まで清耕による無施肥の均一栽培を行い,同年にオーチャードグラスの全面草生栽培に切り替えるとともに,翌年から窒素施用量の異なる4区を設定し,その後20年以上にわたって窒素施用量の違いがリンゴ樹の生育,果実の収量及び品質に及ぼす影響を調査し,窒素の適量を検討した。
成果の内容・特徴
施肥量は,0N区は窒素無施肥,窒素施肥区では1973年から1978年まで樹齢に合わせて増量し,1979年から1N区は5kg,2N区は10kg,4N区は20kgとし,りん酸と加里は各区共通でそれぞれ5kgと10kg(いずれも10a当たり)とし,毎年3月中下旬に全量を表面施用した。
  1. 樹体の生育は,1983年までの約10年間は0N区と1N区との差が小さく,2N区,4N区と窒素施用量の多い区ほど旺盛であった。しかし,その後は多肥区での生育量の低下が著しく,1992年には0N区と4N区の間でもせん定枝量の差がなかった。葉中窒素含有率は,1983年には窒素施用量の多い区ほど高かったが,1992年には差がなく,また0N区でも1992年まで低下がみられなかった(表1)。
  2. 収量,果実重はいずれも処理区間に差がなかったが,着色良果率は窒素施用量の多い区ほど低く,1979年~1984年の着色良果の累積収量は1N区の1,050kgに対し,4N区は680kgと少なかった。果汁糖度,果肉硬度ともに窒素施用量の多い区ほど低い値を示し,品質面で劣る傾向がみられた(表2)。
  3. 以上の結果,褐色森林土リンゴ園の「紅玉」において,樹勢を維持しつつ着色良果を多収するには,窒素は5kg/10a程度が適していた。
成果の活用面・留意点
供試ほ場と同程度の肥沃度(褐色森林土,砂壌土~埴壌土,有効土層60cm,全窒素0.2%,可給態窒素1mg/100g乾土以上)の園地で適応が可能。
図表1 212883-1.gif
図表2 212883-2.gif
カテゴリ 肥料 栽培技術 施肥 りんご

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