東アジアにおけるミカンハモグリガの寄生バチ相

タイトル 東アジアにおけるミカンハモグリガの寄生バチ相
担当機関 果樹試験場
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 日本,台湾及びタイから,34種のコバチ類がミカンハモグリガの寄生バチとして確認された。各地の優占種はSympiesis striatipesとQuadrastichus sp.(以上日本),Ageniaspis citricolaとCitrostichus phyllocnistoides(以上台湾),A.citricola とQuadrastichus sp.(以上タイ)であった。
背景・ねらい
ミカンハモグリガは高接ぎ樹,若木及び施設栽培ミカンの重要害虫である。また,被害痕がカイヨウ病の侵入口となる。これの防除には,5~10日間隔の殺虫剤連続散布で対応しているが,薬剤の連用は薬剤抵抗性害虫出現,他害虫のリサージェンス,環境に対する影響などの諸問題が生じている。さらに最近は,新大陸やヨーロッパ,アフリカなど従来発生していない地域への本種の分散が起こり,これらの地域でも,薬剤によらない防除法の導入が求められている。このような時期に当たり,本種の生物防除法の研究は重要であり,その基材となる天敵類の種類,分布,特徴などの情報を提供する必要がある。
成果の内容・特徴
  1. 日本からは23種の寄生バチが発見されたが,本土では Sympiesis striatipes が最も多く,Quadrastichus sp.がこれに次いだ。 また,南西諸島ではCitrostichus phyllocnistoides が優占種であった(表1)。
  2. タイからは17種が得られ,Quadrastichus sp. が最も優占し,Ageniaspis citricola がこれに次いだ。また台湾からは9種でA. citricola とC. phyllocnistoides が優占した(表1)。
  3. これらの内,S. striatipes,Quadrastichus sp. は3齢以上の発育の進んだ幼虫に寄生し,C. phyllocnistoides も比較的大型の寄主に寄生する。これに対して,A. citricola は卵-幼虫寄生者である。
  4. 我が国で,ミカンハモグリガの死亡率はしばしば90%以上に達し,これに寄生バチが大きく寄与していると思われるが,それでも,ミカンハモグリガの被害は甚大で,一般管理園でも毎年夏季新葉のほぼ100%が加害される。これに対して,タイでは被害葉率10%程度の園が多く見られ,これらの園では,A. citricola寄生率が高い。このハチがミカンハモグリガの最重要天敵と推定された。
成果の活用面・留意点
A. citricola はすでにタイからオーストラリア,さらにフロリダに導入され,定着した。我が国にも導入を試みる必要がある。
図表1 212890-1.gif
カテゴリ 病害虫 害虫 施設栽培 高接ぎ 抵抗性 防除 薬剤

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