タイトル |
果実品質・外観の良好なウメ新品種候補「ウメ筑波6号」 |
担当機関 |
果樹試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
ウメ新品種候補「ウメ筑波6号」は「白加賀」と「地蔵梅」の交雑実生から選抜された中生のウメである。果実は30g前後で整い、外観が優れ、青梅及び梅干し原料としての品質も良好である。適正な受粉樹の混植により「白加賀」に比べて収量が高く良栽培性となる。東北地方から九州までのウメ産地に適する。
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背景・ねらい |
ウメの主要品種は地域性が強くその数は限られており、栽培の安定化のためには優れた品質を有する、収量の安定した新品種の育成が求められていた。このため、大玉で生果及び加工性の優れた品種の育成を目標に交雑を行った。
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成果の内容・特徴 |
- 果樹試験場において昭和48年(1973年)に、「白加賀」に「地蔵梅」を交雑し、翌年春に播種して得た実生を2年間苗圃で養成した後、昭和51年(1976年)秋に果樹試験場千代田圃場に定植し選抜を行った。昭和54年(1979年)に初結実し、昭和58年(1983年)よりウメ第1回系統適応性検定試験に「ウメ筑波6号」の系統名で供試し、平成8年度落葉果樹系統適応性・特性検定試験成績検討会において新品種候補にふさわしいとの結論を得た。
- 樹勢は中位で、樹姿は開張する。短果枝及び花芽の着生は中位、花粉は少なく発芽率も極めて低い。生理落果は少なく、若木のうちはやや収量が低い傾向があるが成木になるにしたがって収量は安定する(表1、表2)。データには示さなかったが、開花期は「南高」の数日後になる。黒星病の発生が中程度みられる。
- 収穫期は満開後90日から100日余りで、「南高」より数日早い中生である(表2)。
- 果実の大きさは30g前後、「南高」と同程度となる大きめの中梅であり、果形は短楕円~円形で果皮の着色は中程度、ヤニ果の発生は「南高」と同様に少ない。酸含量は「南高」と同程度である(表1、表2)。
- 核の大きさは中位で、核重率も低く、果肉が厚く肉質は滑らかである。「南高」と同程度の優れた梅干し製品が得られる(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
収量は中位であるが、果実が中梅としては大きく、「南高」より収穫期が早いことから、青梅及び梅干し原料として、ウメの収穫期の拡大や生産の安定化に有効である。受粉樹の混植が必要である。樹勢がやや弱くなる傾向があるため、樹勢の維持を心がける。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
うめ
加工
黒星病
栽培技術
受粉
新品種
播種
品種
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