着色・食味の良いカキ新品種候補「カキ安芸津11号」

タイトル 着色・食味の良いカキ新品種候補「カキ安芸津11号」
担当機関 果樹試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 カキ新品種候補「カキ安芸津11号」は「松本早生富有」に「F-2」(次郎×晩御所)を交雑して育成した完全甘ガキである。果実成熟期は「富有」とほぼ同時期の晩生で、果皮色は赤味が強く、食味良好である。果実発育後期の生理落果が多い。
背景・ねらい
 カキは、「富有」、「平核無」、「次郎」とその枝変わり品種によって大半の商品生産が行われており、消費者に供給されるカキ果実の変異は狭い。そこで、カキの消費を拡大するため、高品質のカキの新品種、特に樹上で安定して自然に渋の抜けるタイプである完全甘ガキの新品種の育成を図った。
成果の内容・特徴
  1.  昭和45年(1970)に果樹試験場安芸津支場(現カキ・ブドウ支場)において「松本早生富有」に「F-2」(次郎×晩御所)を交雑して育成した系統で、系統番号は「カキ安芸津11号」である。
  2.  平成元年(1989)からカキ第4回系統適応性検定試験において検討を続けた結果、平成9年1月(1997)に、同試験成績検討会において新品種候補とするのが適当であるとの結論を得た。
  3.  果実の甘渋性は完全甘ガキである。果実成熟期は「富有」とほぼ同時期の晩生である。果形は「富有」より扁平であるが、「富有」と同程度の大きさである(表1)。果皮色が「富有」より赤く(育成地ではカラーチャート値で8程度)、汚損果の発生も少ないので外観良好である。へたすき、果頂裂果の発生も少なく、日持ち性も「富有」とほぼ同程度に良好である。肉質の粗密は「富有」と同程度またはやや緻密で、適熟果の果汁は多く、糖度も17.5%程度で「富有」よりやや高い。このため食味は良好である。種子数は平均1個程度で非常に少ない。
  4.  樹勢は中程度で,樹姿は「直立」と「開張」の中間である(表1)。雄花は着生しない。雌花の開花期は「富有」とほぼ同時期で遅い。雌花の着生程度は「富有」、「平核無」、「伊豆」などより少ない(表1及び2)。雌花の少ない年は収量が少なくなる場合がある。単為結果力が強いので早期落果は非常に少ない。一方、種子形成力は極めて低いので無核の果実が多く結実する。しかし、後期落果性があり、年と場所により8~9月に果実が落果しやすい。これを制御できる技術は確立されていないので、収量は不安定である。「富有」と同様の防除を行えば、めだった病虫害は認められない。
成果の活用面・留意点
 果皮色が極めて赤く、外観良好なことが特長であるが、年と場所により後期落果しやすいこと、また雌花の着生が少ない場合があるので栽培上注意が必要である。一般に「富有」栽培地域に適応するが、北陸地方沿岸部でも渋味は認められていない。
図表1 212900-1.gif
図表2 212900-2.gif
カテゴリ 病害虫 かき カラー 新品種 単為結果 品種 ぶどう 防除 良食味

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